那岐の部屋

□†いつのまにか†
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あなたが、そこに居るのが当たり前で…だから

「かざはや?」
「眠れませんか?」    「いや…」
いつからそこに居たのかなんて聞く気にもなれず、少しため息をついた。

いつもは、一人で広すぎると思っていた部屋も二人居ると…
「…しばらく家に帰りませんから…」
「え?」
何勝手な事…言おうとしたらあんたが泣いてる?気がして口を閉ざした。

「だから…今だけ」
何も理由を話そうとはしない。

「いつ帰るんだ?」
「…分かりません」
耳を疑いたくなった。

「何処へ行くのか聞いても…」
「…知っているでしょう?なぎ?」
不思議そうに僕を見つめる瞳はやはり潤んでいた。

「知らないな!」
わざとぶっきら棒に言ってのけた。
「…そうですか…」
哀しそうに呟くと今度はあんたが、深いため息をついた。

「何かあったのか?あんたらしくもない」
「な、何もありません」
背中を向けて窓の外を見回す。明らかに話を逸らそうとしている。

「…ちひろはなぎを…」
何を言うつもりなんだ?

「あんたを選んだんじゃないのか?…だから…居なくなるのか?」
自分でも何を言おうとしているのか分からない。

「なぎ?違いますよ」
「え?」
「私があなたを選んだから…すみません」



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