那岐の部屋
□†この手のぬくもり†
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初めて出逢った時のことは忘れる事が出来ない。
街の真ん中で大きな鎌を振りかざされれば…誰だってびっくりするだろ?
ボクの唇を読むと悲しそうに俯く。
「いや、もうあの時の事はいいから…な」
なるだけ優しく言う。
…なぎ?…
聞こえないはずのおまえの言葉…でも確かに呼んでくれたよな!
…わぎも…じゃない…でも…なぎは…大切…
恥ずかしくなって顔が紅くなる。
…なぎ?
心配そうにボクの手を握る。
「そうじゃない…嬉しいんだ!」
握り返すてのひらの温もりが伝わるといい。
「遠夜…」
小さく呟くボクの唇におまえが微笑む。
…なぎの優しさ伝わってるから…
繋いだ手で、唄う。なぎの心の唄を俺が唄う。
「優しい声だな…」
うっとりして繋いだ手を強く握る。
…なぎの心が暖かいから…俺も暖かくなる…
「ボクもだ!遠夜…おまえと同じだよ!」
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