ちすざくの部屋

□‡旅立ちのうた‡A
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まさか…出前試験なんて…風早も柊も…早く来て欲しいんですよ!なんて…


那岐?
「分かってるよ!」
遠夜の希望は皆が知ってるから…勉強したいんだろ?えーと…
「那岐と一緒に…通いたい」なんて遠夜…可愛い事言うから…僕は頷くだけ。


徒歩3分なんてラーメンじゃあるまいし…手に持ってたら着いたと同時に出来上がり…?ふふっ!
毎朝コレで朝はカップラーメンだね!

那岐…
「楽しそうだな」
え?まあね!
僕の頭の中なんて遠夜なら簡単に分かってしまう?
ふうっ…

余計な事考えてたら…
いつもの回避能力レベルが上がったらしい…息が乱れる…
「那岐…どうした?」
ラーメンどころじゃない?額に手を当ててため息?
「…悪い…」
えー?

オレはさっと体を那岐の背中側に回る。倒れそうな那岐を支えて…背中を撫でると震えていた。
「那岐が優先だから」

オレは目の前の校舎に背を向けて那岐の手を引いて歩きだす。1歩行った所で、風早が追い掛けてきた。

那岐の体から力が抜けていく?
「那岐?」
風早が心配そうな顔をしてオレに手を振る。
額に手を当てると案の定熱かった。

「那岐が熱だ!」
オレはそれだけ言うと正体のなくなった那岐を抱えて歩きだす。

とーや…
「ごめん」
はしゃぎ過ぎたかな?
はあ〜
ふわりと浮かんだ体に慣れないまま闇に包まれた。

「すぐ帰るから」
オレは走って帰る。
風がオレを後押ししてくれたから…ん?
「どうした?」
忍人が後ろから声をかけてきた。

「那岐が…」
風の中で声が途切れる。
忍人も走ってるのだろうか?なんて思いながら…
「熱か?」
え?
「…熱い」
オレはそれだけ言うと部屋に上がる。

「俺はここで…」
外から声がした。

よく意味が分からなかったが那岐をベッドに寝かせて忍人を探して外を見にいった。
「もしかしたら…流行りの風邪かもしれない」
ああ…
「分かった」
オレはそれだけ言うとすぐ家に戻る。

初日から…風早が見つけてくれたから連絡はしなくて良いか?
「忍人?」
もう一度外に向かって声を掛ける。
「風早には俺から言う」
忍人がにっこり笑った。
ああ…助かる。



とーや?
目覚めた僕は遠夜を探していた。ふーっ!
「呆れるな…子供じゃあるまいし…熱か」
誰かに言われたら腹立つかもしれないけど…ふふっ!独り言だから…

「那岐…風邪かも」
ん?
起き上がれない。
「那岐…寝てて」
遠夜が僕の手を握っていった。


2010.03.16.
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