ちすざくの部屋

□‡旅立ちのうた‡A
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ゴーゴーと唸る風を見ていた。この天気じゃ…回避レベルが上がっても文句は言えないか…ふうっ!
「遠夜…悪かったね!せっかくの日だったのに」
僕のせいでまた延期?


しかも責任まで感じさせてふーっ!
だから僕は一人で居なきゃダメだったのかな?僕のせいで遠夜が…
堂々巡りのこの後向き路線から抜け出したいのに…


那岐の声がした?呼んでる?なのにオレは…
買い出しに出てる。何を考えてるんだ?那岐を一人にしちゃダメだ!
ようやく思い当たって駆け出す。

風が益々酷くなる。心配掛けてしまう…あ…
ふーっ!那岐の顔を思い出したら元気になった。

忘れてた?
とーや〜くにゃってオレに抱きつく那岐…ふふっ!と悪戯ッ子みたいに笑う那岐…今帰るから…




風は止む事を知らないのかガタガタと家が揺れる。
ちょっとだけ目を閉じて、遠夜を探す。
ん?家の中には居ないみたい?



窓ガラスに水滴が流れ落ちる前に帰ってきて…
僕の回避レベルは相変わらず高いまま…闇に吸い込まれた。




ふうっ!
雨にも負けず?いや、まだ雨は降ってない。
「那岐?」
静まり返った那岐の部屋に足を踏み入れた。

眠ってる?
赤い顔で少し息が早い?
「…どう?」
起きてるか?


とーや?
遠夜の声が僕を包む?
僕の手を冷たい手が…プルッと震えたら…すまない…どうして遠夜が謝るかな?ダメなのは…僕。


いつも肝心な時に役に立たない僕に謝るなんて…ふうーっ!
いつ止まるか分からないこの見えない迷路の中で僕はおまえを探す。

少しだけ横になるつもりだったのに…ふーっ!
ダメ出しをしてみる…きっと良くない結果が僕を待ってるに違いない。中々起き上がれない…早く…早く起きないと…ん?
焦ったから?目眩が僕に襲い掛かる。



ううっ!



那岐にオレの唄が届くと良い…那岐…なーぎー?
少し動いた気がした。寝返り?


ぐーっ!
那岐の中から聞こえた。
「あったかい素麺作ってくるから」
オレは手を放して…
「とーや?僕を嫌いになったの?」
え?
那岐…な、何言ってるんだ?マジ焦った。オレがおまえを嫌いになんてなるはずがないだろ?

ふふっ!って笑ってくれると思ってた。
ん?
那岐の手がオレの手を握り締める。


「オレ那岐の事好きだから!」
いつもより先に言った。きっと顔は真っ赤のはず。
「…僕も…チュ」

(大人の事情によりカットします)

2010.03.21.
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