†小説(長編)†

□雨宿り(銀高 18禁)銀Ver
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雨の降っている午後
銀時が買い物から戻ると
一匹の黒猫が雨に打たれ
万事屋に雨宿りしていた。


「おっ…?」


緑の瞳が雨に濡れ
闇夜のような黒い毛が
ペッタリと張り付いている。
…右目には痛々しい
古傷が刻まれていた。


銀時が不思議そうに
見つめていると
猫と目が合った。


「…にゃぁー。」


寒そうにブルブルと震えている。


「……。」

「…にゃぅ。…」


…その相貌と雰囲気に
ふと、『あいつ』の事を
思い出した。


……本当に瓜二つだった。
…あの時の…『あいつ』に…。





ザアアァァァ……


空がどんよりと鉛色に染まり
もう10月になるというのに
梅雨みたいな勢いで
雨が降り続いている。

そんな雨の中、銀時は一人
いつもの様に買い物から
帰って来る途中だった。



後もう少しで
万事屋というところで
空の鉛色が濃くなり
雨が激しくなってきた。


「うわっ、
 雨強くなって来やがった。」


バシャ、バシャ…


買った物が濡れない様に
なるべく急ぎ足で歩く。


パシャっ、パシャっ、パシャっ…


やっと万事屋に着いた、と
階段を見ると

階段の影に
派手な着物を着込んだ女性が
雨宿りをしている様だった。


(……客か?)


声を掛けようと近付いた。


だが、そこに居たのは…。


銀時が攘夷時代に付き合っていた
『彼女』だった。


「…た、高杉…?」

「銀、時…!」


「どうしたんだよ
 こんなにずぶ濡れに
 なっちまって。
 風邪ひくぞ!?」

高杉は、予想外だったのか

驚いたような
悲しそうな顔をしていた…。


「……今度会ったら
 全力でぶった切るんじゃ
 なかったのかぁ?銀時ぃ。
 …ククッ。」

口元は笑っていたが
今にも泣き出しそうな顔をしていた。


…だから、つい。


「あーもっ、
 今はそんな事言ってる
 場合じゃないだろ?うわっ!! 体もすんげー
 冷えてるし!」

高杉の手を引き、抱き寄せると
案の定抵抗されそうになった。


「…ちょっ!離、せ。」

「いいから、銀さん家で
 雨宿りしていけって。な?」

「………。」


…こうして、冷えて
すっかり冷たくなった高杉を
万事屋に上げてしまった。
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