Short dream Dグレ
□告白という悲劇
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「ウォーカーさん!好きです!」
私は今、一世一代の勝負に出ている。
「えっどちら様でしたっけ?」
アレンは全く悪びれた様子もなく、完璧な笑顔をしていた。
もちろん彼が私を知らないはずはない。同じエクソシストであり何度か任務も一緒に行っているのだから。
「えっ?ちょっと待って。」
しかも私は今、彼に告白をしたのだ。勇気を振り絞って、悩みに悩んでやっと伝えれたと思ったのに。
あまりの仕打ちに涙目にもなってきた。
いつもそうだ。アレンはいつも私をバカにして、からかって、いじめてくる…あーなんで好きになったんだろう。
「あーすみません。知りもしない人に告白してしまいました。去ります。」
私は涙目を悟られまいと俯き、棒読みで言ってのけるとクルッと体を反転させ、アレンから走り去った。
瞳からは大粒の涙がボロボロと流れ落ちるのがわかる。
悔しかった。アレンがどんなに自分をけなしても、アレンが自分にだけしか見せない一面だと知っていたから。
一緒に任務に行けば自分を遠まわしにも気遣ってくれているのを感じていたから。
だから、もしかしてと思い意を決して告白したのに彼は顔色すら変えなかった。
「私、アレンの中では神田と同レベルなんだ。やっぱ嫌われてるんだ。」
走りに走って廊下の端まできた私はその場に泣き崩れた。
「やっぱりバカですね。」
背後から声がして私は振り返った。でも私は振り返る前からそれが誰だかわかっていた。だってそれは私が大好きな声だから。
「はぁ。僕はまだ何も言ってませんけど。」
「誰ですかって言ってたじゃない。」
「あれはお約束ってやつですよ。」
そうゆうアレンの息は軽く上がっていて、必死で私を追いかけてきてくれたのかと思うと少しうれしさもこみ上げてくる。
私は相当惚れてるらしい。
「神田と一緒でいいんですか?」
「いやだ。」
神田にはかなり失礼だが私は必死に首を横に振った。
「だったら話を聞きなさい。」
アレンは一歩一歩私に近づき、目の前までくると私の涙を親指で拭った。
「僕も好きですよ。こうやってイジメたくなるくらい。」
アレンはそう言うと私の頬をひっぱった。
「いひゃいー。」
私の目からはまた涙がボロボロと零れた。
もちろん痛いからではない、嬉し涙だ。
「もう泣き止んでください。見れた顔じゃない。」
アレンが抱きしめてくれて涙は余計に止まらなくなった。
「これからずっと一緒にいるのにブサイクな彼女は入りません。」
アレンは私の頭上でクスクスと笑っていた。
私に黒い彼氏ができました。
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