REBORN!

□パラレルワールド
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例えば、この次元の私はヴァリアーの一員で今、目の前にはホットココアにマシュマロを浮かべようとお菓子の皿に手を伸ばしているフランがいる。

でも、もしかしたら別次元の私はただの一般人かもしれない。

つまりはパラレルワールドだの平行世界だの、そうゆうことを考えているのだ。


「ちょっとミルフィオーレを応援してみようかな…。」


考えても考えても答えなど出るわけもなく。口にして言ってみても解決しないことは百も承知だが少し呟き程度に言ってみる。

もし聞こえなかったらそれでもいいというくらいに小さい声で。


「は?反逆者になるんですかー?そうなったらたぶん殺さないといけなくなるんで止めろ。」


どうやら聞こえたようだった。
手元のココアを一口飲もうとカップを持ち上げると入れた覚えがないマシュマロが浮いていた。


「ミーが入れてあげましたー。ミルフィオーレ応援するならマシュマロ好きにならないとー。」


あーそんな情報もあったなと思いながらただでさえ甘いココアに甘いマシュマロを組み合わせた飲み物を口に含んだ。


「甘い。」


甘いものが好きではない私は眉をひそめた。

甘い物は嫌い。
世の中は甘くない。いつだって辛くのしかかる。だってボンゴレが勝っても、ミルフィオーレが勝っても、私には希望の光は一つもない。


「だってこのままボンゴレが勝ったらフランはいなくなるんでしょ?」


私がそう言うといつもやる気のなさそうな瞳が少しだけ見開かれたような気がした。


「パラレルワールドって知ってる?ボンゴレが勝つ世界もあればミルフィオーレが勝つ世界もあるのよ。だったらこっちはどっちの方だろう。」


そんなことわかるわけがない。
未来はわからないものだ。
私がフランに消えて欲しくないと願っても、逆に海の向こうのボンゴレ達は消えてしまった人達を取り戻そうと必死なんだ。
結局、誰かが悲しんでみんな幸せなハッピーエンドなんてないのだ。
いや、そんな世界も存在しているかもしれないが。


「そうゆうのってー考えてもキリがないと思うんですけどー。」


「わかってるよ。」


「この考えって人それぞれじゃないですかー。これはミーの考えですけど、ここのミーは消えないと思いますよー。」


フランはまた甘い甘いココアを一口飲んだ。


「だってここってもう彼らがいう10年後じゃないですかー。でーミー達は戦ってるわけですよー。ボンゴレが勝利したら彼らは過去に帰って新しい10年後を迎えることができますけど、ミー達はこのままミルフィオーレの戦ったという歴史があるってだけじゃないですかー。だから死なない限りはここにいると思いますよー。」


それを聞いた瞬間私はフリーズした、理解するのに脳をフル回転させた。その間にフランが「意味わかんねーのかよー。」と言っていたが気にならなかった。


「じゃあ、私頑張ってればいいんだ。」


「保障はないですけどねー。」


それでも、私の心は軽くなった。

世の中はこのココアのように甘ったるくはない。ましてやここはマフィアの暗殺部隊。甘さなんて必要ない。


「ミルフィオーレが勝つってことはミー達殺されるわけなんでーしっかり働いてくださいよー。」


だけど、少しだけ、甘いかもしれないけど希望を持てた。


「よし!打倒ミルフィオーレ!」


「単純。」


きっとどこかの私は悲しんでいる。そしてどこかの私は喜んでいるんだ。

それがパラレルワールド。

そこに、幸せがありますように。



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