Short dream ツバサ

□桜・さくら・サクラ
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「お風呂沸いたよー。」


ファイの一言にはすばやく反応したのはイオンだった。


「サクラ!モコナ!一緒に入ろう!」


この国で住んでいる家は広い造りであり、女の子2人(1モコナ)が入るのであればゆったりとしたバスルームがついていた。


「うん。」


サクラは快く了解してくれ、モコナはすでにイオンの肩に乗っている。


「そうだと思って例の物もう入れといたよー。」

「本当に!ありがとう!」

「ついでにオレからのスペシャルサプライズ付きー。」


ファイは満面の笑みで言う。サプライズが何かはわからなかったがイオンはサクラと共にバスルームへと向かった。
それがとても素敵なサプライズだとは思いもせず。




「例の物って何ですか?」


リビングで本を読んでいた小狼が先ほどの会話が気になったのかファイに尋ねた。黒鋼も横目でファイを見ていることから気になってはいるのだろう。


「あー昼間買い物に行ってねー。」



―*―*―*―*―*―




「入浴剤?」

「そーなの!それをお風呂に入れると、いい香りがして、お肌がすべすべになれるの!モコナみたいにすっべすべー!」

「ねぇーコレ一個買っていい?」


ファイの目の前には輝く女の子達の瞳が並んでいた。




―*―*―*―*―*




「ってなわけー。」

「なるほど。そんな薬があるんですね。」

「で、お前のサプライズとやらはなんなんだ?」

「それはー。」


ファイがへらっと笑ったその瞬間、バスルームから「わぁぁ!」という歓声が聞こえた。


「なんだ?」


かなりの大きな声に小狼と黒鋼は驚く。


「買った入浴剤、"桜の香り"なんだってー。」


2人が選んだのはサクラと同じ名前の花の香りだった。


「黒たん言ってたでしょー?家の前に咲いてる木は"桜の木"だって。」



「桜の木か。」



この国に着いてこの家を借りた時に黒鋼がちょうど満開だった桜を見て呟いたのだ。
それを聞いていた"桜"を見たことのない黒鋼とモコナ以外は「サクラと一緒だ」と騒いだ。


「来た時は満開だったけど。ちょうどその"桜の花びら"が散り始めてて、キレイなままたくさん落ちてたから、キレイなの拾い集めて、洗ってー、湯船に浮かべておきましたー。」


桜色の入浴剤を入れた、桜の香りのする桃色の湯船に浮かぶ桜の花びら。

バスルームからは高い声で楽しそうに話している3つの声がリビングまで聞こえていました。
彼女達があがってこればリビングにも"桜の香り"が広がることでしょう。




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