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ただ今、時計針は深夜3時を指している。


私は一人、教団の長い廊下に立っていた。
立っている場所はアレン・ウォーカーの部屋の前。
私以外に人気はなく、静まり返った暗い廊下が恐怖心をさらに強まらせた。



「もう寝てるよね。」



アレンが寝ているか確認するために私は扉に耳を近づける。
しかし、部屋の中からは物音一つしなかった。

少し軽く扉を一回ノックしてみたがなんの反応もない。


夜中、急に人恋しくなり部屋を飛び出したものの、教団内は静かで余計に寂しさは募り、またこの部屋の前で部屋の主は就寝中という悲しい展開である。



「科学班室にでも行こうかな。」



あの場所は眠ることを知らない特別な場所だ。
忙しい中行くのは少し気が引けるがお茶くみくらいなら役に立つだろうと思い、科学班室に向けて足を一歩踏み出した。



「他の男のとこに行くんですか?しかもこんな夜中に。」



急に聞こえるはずのない声が背後から聞こえ私は振り返った。


そこには腕を組んで部屋のドアに寄りかかっているアレンの姿があった。



「えっアレン!?いつの間に。」


「あなたがボケッとしてるからでしょ。それより、こんな夜中に訪ねて来たと思ったらピンポンダッシュですか。喧嘩売りに来たんですか?」


「すみません。そんなイタズラ心は一切ないです。って、もしかしてさっきのノックで起こした?だから怒ってるの?」



「いいえ。」と笑顔で言うアレンに私は恐怖心を感じた。
笑ってはいるがそれは紳士としての仮面を付けているだけの偽りの笑顔だからだ。



「ごめんね。急に一人が寂しくなって。」


こうゆう時は謝るに限る。
少し下から見上げるようにして申し訳なさそうにすればアレンはため息をついた。



「今、夜中の3時ですよ?キミには夜中に女の子が一人で危ないって自覚がないんですか?」


自覚がないと言われてもここは教団の中。つまりホームだ。
一体何に気をつけろというのか。



「ほら、またキョトンとして無自覚にもほどがある。ここには危険なものがたくさんあるんです。神田とか神田とか?後、真っ赤な兎め!」


「え!ラビ?ってゆうか口調変わってるよ。紳士の仮面が剥げたよ。」



神田が嫌いなことはよくわかったがアレンは特に最後の一言を力強く言ったのは気のせいではないだろう。むしろ名前さえ呼んでいなかった。

彼女に好意を持つ人は多く、それを本人が自覚せずに振る舞っていることがアレンの悩みの種だったのだ。



「はぁー。まぁいいです。どうぞ。」



アレンは盛大なため息をつくと、いまだに理解できない私を部屋に招き入れてくれた。



「僕の所に来るのも危険ですけどね。」



その言葉は先に部屋に入ってしまった彼女には聞こえていないだろう。

アレンは静かに扉を閉め鍵を閉めた。



夜中に一人でうろつくのは危険ですよ。
だから忠告したでしょう?



彼女がそれを学ぶまで後数分。

一番危険な場所に来たようです。


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