拍手御礼小説

□拍手文2 〜ナスティ×征一郎のある日です〜
1ページ/2ページ

『ファーストキス』より、ナスティ×征一郎のある秋の1日をどうぞ……




「フン、フフン♪」

「…おい」

「フフフ〜ン♪」

「おい!」

「あ、起きた?」

「………お前は何をしているんだ?」

「え? あ、今日は魚屋の純一さんに秋刀魚を貰ったから焼いてるんだ〜」

成る程、さっきからするいい臭いは秋刀魚の焼ける匂いだったのか。
やっぱり秋は秋刀魚に柚子をかけ、新米と一緒に食べるのが美味いよなあ〜。この間の栗ご飯も美味かった……………

「てか、違う!」

「は? ナニ?」

「なんちゅう恰好をしてるんだ、お前は!」

「……裸エプロン?」

「なぜ疑問系!」


可愛く? 首を傾げる仕草で俺を見下ろす奴の身長は186センチ。しかも、筋肉質な金髪アメリカ人。
腹黒さとしたたかさをその笑顔の下に隠し、俺の心をまんまと手に入れた憎い奴。


「もう一度聞く。なぜお前はそんな恰好をしている?」

そんな恰好とは、男の永遠の憧れ、裸エプロン。

「え、だって恋人の裸エプロンって男の憧れなんでしょ?」

「間違ってはないが、やっぱりなんか間違ってるぞ、それ」

「え? そうなの?」


大体、可愛いげの全くないこんな大男がピンクのヒラヒラエプロンなんかつけてたら、変態でしかない。……あ、よく見たら下着は履いてるんだな。良かった…

「恋人の裸エプロンってムラムラするもんなんじゃないの?」

「それは相手にもよる」

「え、じゃあボクもムラムラできるか試してみたいな」

「……え?」

「セーイチ。着てみてよ」

「お、おい」

「ねえ。お願い」


ずいっと迫ってくるナスティの顔には、純粋にただ知りたいだけって書いてあるけど、俺は騙されないからな! 何も知りません。ワタシ、ニホンゴワカリマセンって顔して、裏でニヤリと笑ってるの、知ってるんだからな、俺は!


「ネエ、お願いセーイチ」





「……………」


そうは分かっていても、どうも俺はこいつの「お願い」に弱い。
長男気質って言うのか、人にお願い事をされると何とかしてやりたくなってしまうんだ。




たとえそれが理不尽なお願いであっても。
…………悪魔の罠だと分かっていても


「……………分かった」

「え?!」

「見たいんだろ? 裸エプロン……」

「うん!!!」


おいおい。嬉しそうに笑い過ぎだ。隠してるはずの悪魔の尻尾がちぎれそうに揺れてるぞ……




「…………まあ、最近、お預けさせてたからな。ご褒美だ」

「セーイチ大好き!!」

「ぐぉっ!!」


巨体でタックルをかまされ、そのままナスティを上に乗せて倒れ込む俺。

「いてぇ…」

「………セーイチ」

「何だ?」

「…………脱がせてあげる」

「?!」

着ていたシャツに手をかけ、ゆっくりとボタンを外していくナスティ。

「ま、まて、自分で…」

「ダメ。今日はボクがするの」

「ちょ、ナスティ」

「………my sweet ……love you…」

「っ!」

耳元で甘く囁かれ、俺はゾクリと身体を震わせる。
それは反則だ!! まるで外国人みたいな事しやがって……ああ、こいつはアメリカ人だった。






なんて考えてるうちに裸に剥かれ、エプロンを装着されたのち美味しくいただかれてしまった俺。

キッチンには冷めた秋刀魚。






「セーイチ、ごちそうさま。………さ、もう1回」

「殺す」


………食欲の秋は、アメリカ人にも通用するらしい


お粗末様でしたm(__)m
2010.9.24
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ