拍手御礼小説
□拍手文3〜龍次郎×求〜
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『欲しいもの、ひとつ』の龍次郎×求をどうぞ……
↓
(友人の飯田視点です)
「……フン…フン♪…」
「お、ご機嫌だなあ。生徒会長殿」
「え、そ、そうかな?」
「さては恋人ができたな?!」
「な、ななななにを急に!」
「あ〜あ〜、そんなに慌てちゃって可愛い事。……さりげなくひっくり返したお茶は全て俺の足にかかってるけど、まあ許しておきましょ」
「わ、ゴメン」
「落ち着け……って遅かったか。お茶の次はカレーね」
「ごめん、飯田!」
「大丈夫だ。慣れてる」
内心、酷く落ち込んでいるであろう親友だったが、その表情にはあまり変化は見られない。
いつもの事だ。
食堂の向こうから、『会長、綺麗だ〜』『お美しい…(うっとり)』 『会長にまた迷惑かけやがって。飯田、殺す』などという囁きが聞こえるのもまた、いつもの事。
てか最後の奴、出てこい。
俺の親友の新城 求(あらしろ もとむ)は、うちの高校の生徒会長だ。
むさ苦しい男子校の中での数少ない綺麗要員で、皆にはクールビューティと持て囃されている。
常に冷静沈着で凜としていると言われている求だが、ところがどっこい、ドジで純情、今時ないくらいの純粋培養で、それら全てが全く表情に出ないだけ…という損してるのか得してるのか分からない奴なのだ。
俺からして見れば酷く分かりやすい奴なのに、みんな目が悪いのか?
「飯田ごめんな。制服脱いで。帰ってクリーニングしてくるから」
「ん。でも今は止めて。俺、こんな場所でズボン脱いだら全校生徒プラス教師らに殺される」
「??」
「…分からなくていいよ。なあ、それより今日は何かあるのか?」
「え?」
「さっきから時計ばかり気にしてる」
「嘘…」
「ほんと。………前に言ってた好きな相手か?」
「!」
お〜お〜、分かりやすいなあ。
求は以前、片想いの切ない気持ちを漏らしていた。
好きになってはいけない相手なのに、その人しかいらないのだと。
純粋で潔いその本音はあまりにも求らしくて、相手が人妻だろうが物凄く歳の差がある相手だろうが、手に入れちまえと背中を押しそうになった俺だったが……
「恋人になったんだな?」
「…………………うん」
実は、相手がどんな人間なのか俺は知っているのだ。
以前、生徒会の仕事で遅くなった求を校門まで迎えに来た背の高いイケメンを見た。
親友は、彼の前では今まで見た事もないくらいの甘い感情を溢れさせ、全身で大好きだと語っていた。
求にあそこまで好かれる相手だ。きっといい人間なんだろう。
「いつか紹介しろよな」
「えええっ?!」
「………色んな意味で、彼と話し合ってみたいんだな」
俺は、入れ直したばかりの熱いお茶が足にかかる感触を感じながら、親友の彼氏とはこの被害について語り合わなければと強く思った。
2010.10.5