拍手御礼小説

□拍手文11〜平太×克之介〜
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風呂から出ると、ジャニ○ズにいそうな美少年が、鼻歌混じりに洗濯物を畳んでいた。

「お。よく暖まったか?」
俺の気配に気付いた奴は、すぐに手を止めてドライヤーを差し出してきた。

「早く乾かさないと風邪を引くぞ」

「………」

「ほら」

お前は俺の母親か…という言葉はぐっと飲み込み、渡されたドライヤーを俺は無言で受け取った。


こいつの名前は克之介。
一週間程前に近所の公園でいちゃもんをつけられ、なぜかマンションに居候する事になった不思議な男。

名前と顔が一致しておらず、歳のわりにじじいみたいな奴。
あ、名前と年寄り臭いところは一致してるか…。




俺は最近、こいつが気になって仕方ない。

「…最近の若い衆は、こんな下着を履くんやな」

「…じろじろ見んじゃねえよ」


居候させてもらう代わりに家事はすると断言し、掃除洗濯に料理と、こうして身の回りの事をしてくれているわけだが…

「……」

「…何や?」

「………何でもね〜」

ちょっとだけ、本当に少しだけ、嫁さんみて〜と思ってしまったのは、きっと俺が疲れてるからに違いない。

「自分のぱんつはじろじろ見るなと怒るくせに、人の顔をじろじろ見るのはええんか?」

「お前に見られたら減る」
「わしの顔やって減るわ」

なぜかその横顔から目が離せなかったのは、眼球を動かすのもしんどいくらい俺が疲れていたからだと思いたい。


「そんな事言うてたら、髪が全然乾かせてないやないか」

「……あ」

「ほら、貸し。ほんで、そこに座り」

自分はソファーに座り、その足元を指差す克之介。
「……」

無言で足元に座った俺からドライヤーを奪い、濡れた髪に手を伸ばしてくる。

「熱かったら言い」

ブォーと音を立てて動き出したドライヤーが、俺の髪から水分を奪っていく。

他人に髪を触られた事も、ましてやこうやって乾かしてもらった記憶も、俺にはほとんどない。

だからか、やけに緊張した。
ただ、同じくらいに心地よさも感じていたが。

「ほら、乾いたで」

最後に指を髪に絡め、さらりと抜いていく感触に思わずぞくりと背筋を震わせ俺は、慌てて立ち上がった。
「………サンキュ」

「はいはい」


…そのまま俺に背を向けて、残りの洗濯物を畳み出した克之介の肩に手を置き、こちらを振り向かせたい衝動にかられたのは、俺が疲れて(以下略)

終わり


おまけ

「〜ふんふ〜ん♪〜祭りは男の〜ああ〜晴れ舞台〜〜♪」

(なぜ鼻歌が、演歌の大御所・南島 栄吾郎?!)

2011.10.25

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