拍手御礼小説
□ダイスキだから
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★ダイスキだから★
1、
岸裏 環の朝は早い。
pipipi、pipipi
バシッ!
「………」
午前5時半起床。
朝日が昇り切っていない薄暗闇の中、ベッドから起き上がる。
叩き落とした目覚まし時計を元の位置に戻し、大きく伸びをする。
「ふああぁ〜」
身体を力一杯伸ばした後、パジャマ替わりのスウェットを脱ぐ。
現れるのは、透き通るような肌。細いうなじ、腰、足首。
ラインのどこをとっても、誘っているとしか思えない色気を放っている。
その事に、本人だけは気付いていない。
ハンガーにかけていた白い道着を身に纏い、黒い帯で腰をキュッと締める。
「よし。行くか」
柔道着を身に付けると、匂うような色気は半減された……かに思えたが、逆に禁欲的な色気が増し、袖や裾口から見え隠れする白い肌が、何とも言えない風情を醸し出していた。
もちろん。本人はその事にも気付いていない。
階段を降り、そおっと音を立てないように玄関のドアを開ける。
「!」
門に寄りかかる背の高い人影に気付き、環はぴくりと反応を見せる。
しかし。いつもの事なので特に驚く様子も見せずに、人影に走り寄っていく。
「行くぞ」
「はい」
そのまま、人影を連れて走り出す。
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