学園小説

□なでしこ症候群
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★ありえないし!★










ちょっと待て!


このシチューエーションは、どう考えても間違っている!



鼻先5センチのところにまで迫ってきているのは、男の荒い鼻息。

「もう我慢できないっ。ぼ、僕っ!」

ちょっと待て。いや、だいぶ待て! 絶対に待て!!

「僕…。僕、君の事っ…!」






パンツ一丁の姿で、壁際まで追い詰められて逃げられないこの状況は、まさに絶体絶命!

「おい、落ち着け! なっ? とりあえず、そこに座れよ」

おかしい。ありえない。
何で? どうしてだ??

「俺は男だ! お前と同じもんがついてるんだ。そんなもん、見たくもないだろ? なっ?」

男が男に迫られるだなんて、聞いた事も見た事もない。
それでも最近は、ぼういずらぶとかいうもんが流行っているらしいが、体育会系にどっぷり浸かった人生を17年も送ってきた俺が、知るわけがない。

っていうか、知りたくもねえよ!



大体、こんな身長だけがひょろりと高いもやし男なんか、本当なら一捻りだ!



「こっち向いて……」

でも今は、もやし男の手を振り払う事さえできない俺。

もやし男が、俺の両肩を掴んで動けなくさせると、ゆっくりと顔を近付けてきた。




その目は、欲情して潤んでいる。




ぎゃー、ヤバイ! 本当にヤバイぞ、俺!!

や、犯られる――――――!!





俺は、咄嗟に男の腕をぐっと掴んでいた。

「ギャアー!」

ドスーンッという大きな音と共に、男は床に転がった。

投げ飛ばしたのは、俺。



「柔よく剛を制すだ!」

そう言って、俺は風呂場を飛び出した。
偉大なる柔道家の名言を身をもって実践した俺は、そのまま勢いよく明かりのついた部屋―――食堂へと飛び込んでいった。

「!」






そして、大きな過ちに気付く。
食堂にいた人間達の驚きの目に晒された事で。






「………あんた、誰?」

その中の1人が漏らした一言に、俺は何も答える事ができず………………………………パンツ一丁の情けない姿で、立ち尽くしかなかった。
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