拍手御礼小説

□ダイスキだから
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「6時半か…、そろそろ戻るか」


「うす」




ロードワークを1時間程こなし、城智寮へと引き返す。
適度にかいた汗が、気持ち良かった。


寮の門が見えてきたところで、隣の男が走るスピードを緩めた。




「? どうした、テツ?」




怪訝に思い、顔を上げた環だったが。







ちゅっ







「!!!」







「いただきました」







覆いかぶさるようにして唇を奪っていった恋人の早業に、環は口をパクパクと開く事しかできなかった。




「早く、こっちもいただきたいです」






さわっ






「っっっ!!!」






道着の上から環の尻を触り、何食わぬ顔で去っていくテツ。
やっている事はオヤジだが、憎らしいまでにその顔は男らしい。




「テツ! お前!!」




そのまま、声を荒げて寮の中に入っていくと、食堂の中からは卵焼きの焼ける匂いが。


「あらあら。朝から元気ね、2人とも。シャワー浴びてきたら?」


エプロン姿の栄が、食堂の中から顔を出す。


「先輩。一緒に風呂行こう。背中、流してあげる」


「ぜってえ、やだ!!」


それだけでは済まされない事を、身をもって経験済みな環。
テツのさり気ない誘いをきっぱりと断り、先にシャワー使うぞ! と浴室へと消えていく。




「…っ」




小さく舌打ちするのは、残された恋人。






2人が恋人になってから、はや二ヶ月。
貴志川に元に戻る薬を投与してもらい、環の身体は元に戻りつつあった。
…と言っても、身長も体重も増えてはいたがまだまだ華奢なままで、ここ最近は成長も止まっていた。




そして、恋人達にとって最も重要な事。それは………………





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