拍手御礼小説
□PON缶1周年記念小説
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・15センチ先の恋(明仁×奏)
「明仁〜。明仁〜?!」
日曜日の午前11時。
俺はベランダから兄の明仁を呼んでいた。
「お〜い、明仁〜。っかしいな、いないのか?」
いくら呼んでも返事はない。
それならばと、俺は他の兄弟達の名前を呼んだ。
「和貴〜。亜巳〜」
でも、全く返事がない。
「? 何だよ…」
せっかくいい天気だから、みんなの布団を干そうと思ったのに。
「まだ寝てるのかよ〜?」
3人共、朝メシはしっかり食べに来ていたのに。二度寝か?
「ったく。休みの日だからって、だらけやがって…」
ブツブツ文句を言いながらリビングに降りてきた俺は、兄弟達がTVの前に集合している姿を発見した。
『写真』
「何だよ。みんないるんじゃねえか。返事くらいしろよ」
見れば、お袋の姿まである。
4人で輪になって、何かを見てる…?
「何見てんだ…?」
「奏兄って、こんな頃から目つき悪かったんだね」
「?」
「お〜。睨んでる睨んでる」
「お前ら、何、見て………」
ニヤニヤ笑いながら俺を見てくる、双子の和貴と亜巳。
「そうなのよ。幼稚園でも小学校でも、『お友達を睨むのはやめましょう』って、絶対注意されてねえ〜」
生まれつき目つきが悪かったら仕方がないのにねえ…と、大口を開けて笑うお袋が、膝の上に乗せているのは、分厚いアルバム。
テーブルの上にも何冊か積み上げられていて、どういう訳は開いたページには、どれも俺の写真。
「なっ、何してやがる?!」
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