白猫と見る夢
□二代目人類最悪笹川京子
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12月24日
日本ではそれは多くの人間がキリスト教の祭典に悪乗りして馬鹿騒ぎをし、特にカップルと言われる人種は理不尽な僻みの的となりながらホテルで愛を育んだりする日である。因みにこの日の過ちで愛の結晶ができるとだいたい10月初旬あたりに新しい命が産まれる事になる
そんな世間的にお祭りの日に一人の少女はイルミネーションがきらびやかに輝くツリーの下に立っていた
少女の服装は上着など全く羽織わず学校の制服だろうベストにミニスカートという、季節感も何も無いモノだった
そんな少女に近づく影が一つあった
「遅いよ、こんないたいけな中学生呼び出していったい何時だと思ってるの? 」
「フン、どの口がいたいけな中学生とか言うか、『俺の後継者』」
やってきた男は白い着物を着て、番傘を差し極めつけに狐のお面をつけていた
どっからどう見ても不審者にしか見えないその男は少女の隣に立つ。少女は男の傘を持つ手を持ち自分も傘の中に入るようにする
言い忘れていたがその年は
ホワイトクリスマスであった
「濡れちゃって寒いんだよね……ちょっとあっためてよ」
「ふん、貴様がそんな事言っても気色悪いだけだ。少なくとも俺を誘惑したいなら眼鏡はかけとけ」
「ひっどーい(笑)そんな事言う? 天下のJCだよ」
少女はあまり残念じゃなさそうに、どちらかと言うと人に嫌悪させるような微笑みを浮かべながら狐面の男を見る
その一角だけ明らかに異質であり援助交際かはたまた誘拐犯にしか見えないが二人をとやかく言う人間はいなかった
何故ならその日はクリスマス。皆、自分の事以外どうでもいいのだ。それにこんな異常な存在に付き合ってクリスマスが台無しになるのもシャクだろう
「ところで何の用件なんですか? 私は友達のクリスマスパーティーをわざわざ拒否って来たんですからね」
「『友達のクリスマスパーティーをわざわざ拒否って来たんですからね』、ふん、貴様が友達という目線で人を見るなんて無いだろ」
男の言葉に少女は何の反応も示さなかった
「ああ、用件なんだが
俺、舞台から降りるわ」