05/20の日記

13:39
笹川京子の壊れた世界
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ちょっと閲覧注意

 笹川兄妹は普通である。これは並森町の笹川家のご近所での印象である。
 笹川 京子はイカれている。これは並森中学における一般認識である。

「好きです」

 一人の男子生徒が京子に告白していた。見た目華のように可愛い彼女はたとえ多少悪評が立とうと彼のように思いを寄せる生徒は存在する。とは言っても入学当初からはこのようなことは減ったのだが。

「好き?」

 そう言って京子は小首をもたれる。その動作は彼女の容姿もあいまってとても可愛らしい。
 その動作に少年は見惚れていたが故に気づかなかった。彼女のその壊れた笑顔に。
 刹那、少年は京子に押し倒された。起き上がろうとするも首を捕まれそれはかなわなかった。
 カハッと少年は息苦しさから咳き込む。彼を押さえつけている左腕はそのか細さからは想像出来ないような力でびくともしない。
 必死にもがいている少年の目には信じられない物が写った。

「好きなら私になにされてもよくて私のためになんでもしてくれるよね」

 親友、黒川 花は笹川 京子を無邪気だと例えたことがある。
 結論を言うと少年の上でナイフを構えている笹川 京子は異常者である。
 愛を知らずに育った彼女は両親からうけた虐待を愛だとうけとった。そのため愛する事を傷つけ合う事だと思っている。

「京子っ」

 少年が死を確信した時、自分の上に覆い被さっていた京子が吹き飛んだ。

「お兄ちゃん」

 吹き飛んだ京子は彼女の兄、了平を見つけるや否や了平に笑いかける。

「大好きだよ、お兄ちゃん」
「俺もだぞ、京子」

 そう言って笑い京子のナイフを了平は拳でへし折る。拳から出血しようが了平は京子に笑いかける。
 二人の幼馴染みである雲雀 恭弥はそんな二人の行為を共食いと表現する。しかし了平はそれに異を唱えた。
 誰が言ったかはわからないが了平の事を鞘と表現した人がいた。

「愛してるよお兄ちゃん」
「俺もだ、京子」

 そう言って恍惚の表情を浮かべる京子に了平は満足したように笑った。


笹川京子
虐待の末価値観が崩壊してしまった妹。愛する兄と愛し合うのが大好き。基本触らなければ無害だが愛や暴力の対象になるとその異常が見えてくる

笹川了平
壊れた妹の愛を受けとめる兄。虐待されていた時は京子を守り切れなかったと悔いている。

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