‡REBORN‡

□嫌悪感
3ページ/21ページ


「ねぇ、ヒバリさん」

オレは彼の腰にしがみつきながら呼んでみる。
風に負けないように大声で。

「なんだい」

ヒバリさんの声はいつもとさして変わらないのによく聞こえる。耳にすべりこんでくるみたいだ。

「オレ、明日からしばらく別の家で暮らすことになったんです」

「へぇ。何かあるの」

「家に誰もいなくなっちゃうんで他の人の家に泊まるんです!!」

…………。
ヒバリさんからの返事がない。

「ヒバリさん!?」

「どうして僕に言ってくれなかったのさ」

声が心なしかさっきまでよりも低くなったような気がする。え。
オレ怒らせるようなこと言ってない、よね。

「君の部屋くらい僕が用意したのに」

あ、そこなんですか。

「でも……、悪いですし……」

「他人は頼るくせにかい?」

うっ……。スパナが話をつけてくれていたみたいだったから断れなかったんです!

「どこの辺りなの?」

オレが返答につまっているとヒバリさんは質問をかえてくれた。

「実は……今日その人が迎えにきてくれるみたいで……まだ知らないんです」

「そう。じゃあ綱吉は見ず知らずのところに押しかけるわけだ」

そう言われてみればそうだ。
にしたってどうもヒバリさんの口調はトゲトゲしい。
不機嫌になってしまったみたいだ。

「はい。そういうことです」

オレが言ったらはぁ、というヒバリさんの溜め息が聞こえてきた。
何だかものすごく申し訳ない気分になってきた……。





「じゃあ僕は応援室に行くから」

「あ、はい。ありがとうございました!」

ヒバリさんのおかげでオレは学校に間に合うことができたからその分もお礼を言う。
オレは彼と別れて自分の教室のある二階に向かった。
途中。
廊下で嫌なものを見た。

ー六道骸……。

顔を下に向け足早に通り過ぎてしまおう、とした。
けれども。

「沢田綱吉」

と呼び止められてしまった。
綺麗な顔立ちにちょっとエロい感じの声。
そして、大人びているところが女子受けが良くてオレのクラスにもファンらしき人がいる。
が、オレは本当に彼が苦手なのだ。

「おはようございます」

できるだけ素っ気なく言って彼から離れようとする。

「ネクタイ、曲がってますよ?」

ぐいっと腕を引っ張られた。
何気ないようですごい力。
オレは痛みと嫌悪にしかめ面をしてしまう。

「い……いいです!!自分で直せますから」

パッと骸の手を払ってオレは近くの男子トイレに駆け込んだ。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ