‡REBORN‡
□お菓子と変態
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雲雀恭弥は非常に不機嫌だった。
それは群れる草食動物の為でも、隣町のオッドアイの生徒会長の為でもなく、乱された風紀の為だ。
被害者は今週に入って7人目。
先週の分も含めれば20人はゆうに越えるであろう。
しかし、被害者の中に自ら届けでる者はおらず、今把握できているのはたまたま見回り中の風紀委員が見つけて問いつめたからなだけだ。
「trick or treat」
なんてふざけた文句で近付いてきてお菓子を渡せばすぐに去っていくのが、お菓子を持っていなかったり、渡そうとしなかったりした場合イタズラをしてくるのだという。
それだけでも十分ふざけているのにそのイタズラというのがまた悪質なのだ。
なんでもフェラチオなどというモノをしてくるのだとか。
たしかにそれならば被害者が自主的に通告しないのも分かる。
さらに、その相手というのが随分と可愛いらしくてそれらの情報を聞き出した男は話しながら思い出したのかニヤついていた。
勿論、雲雀は即座にその男を咬み殺した。
が、未だにその犯人の方には何1つ制裁を加えることができないでいたのだった。
ー全く、腹立たしいよ。
変質者だ。
被害者が不快な思いをしていないことを差し引いたって風紀を乱しすぎだと思う。
ー僕を馬鹿にしてるの?
苛々としながら仕事をすすめる。
今は書類を確認してサインをするという非常に簡単な作業中だ。
「変態は変態同士、骸ならなんとかできるのかな」
「誰が変態ですか」
自分以外いない筈の応接室であるはずのない返事が聞こえる。
ハッと顔をあげると窓枠に座る骸と目が合った。
例の隣町の生徒会長である。
いつのまに、と思いながら
「君のそういうところがだよ」
と言ってやる。
おやおや、と肩をすくめる様子は嫌みなほどにサマになる。
我が物顔でソファーに座る彼をもはや咬み殺してやろうという気力さえわいてこなかった。
「お疲れのようですね」
「君みたいな変態のせいでね」
骸が興味深そうに先を促してくるのをみて、やはり変態だ、と思いながら先日まとめあげた書類を手渡した。