‡REBORN‡
□残酷な筋書き
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胸が苦しくて仕方がなかった。
誰かを考えるだけでこんな風になるなんて知らなかった。
ツナは家に帰るなり自分の部屋のベッドに飛び込んだ。
ーヒバリさんが笑ってた。
そして、その笑顔の先はディーノだった。
ただそれだけのことなのにこんなにも苦しくなってしまう。ツナはいつのまにか京子に抱く感情よりももっと強く激しいものを雲雀に抱くようになっていた。
けれども、告白できる筈もなくて吐き出すことのできない思いはじりじりと胸の中でくすぶるだけだった。
ー馬鹿みたいだ。
ツナは乾いた笑い声をあげた。
余計に虚しくなることは分かっているけれどそうせずにはいられなかった。
「どうしたんです?綱吉」
「ヒバリさんが好きなのに……」
反射的に答えそうになって、え、と顔をあげる。
自分しかいない筈なのに。
赤と青の瞳と目が合った。
「骸!?どこから……」
「そこの窓からです。鍵は閉めておかないと危ないですよ」
にっこりと笑い、彼はツナのベッドに腰かける。
「どうしてここに……?」
「質問攻めですね。君に会いに来てみたくなっただけですよ。……それより雲雀が好きとはどういうことです?」
骸に問われツナは頬を赤く染める。
「え……、言わなきゃダメ、かな」
「答えによっては手を貸してあげられるかもしれませんよ」
骸は優しく囁く。
基本的に人を疑うことを知らないツナはその言葉にぱっと表情を明るくして骸に抱きついた。
「あのね、骸。……オレ、ヒバリさんを好きになっちゃったんだ」
ツナは骸の耳元にそっと囁く。
その瞬間、骸の表情は残酷そうに歪んだ。
彼の腕の中にいたツナには骸の顔を見ることはできなかったが。
「そうなんですか」
声だけは最初の穏やかさを保っていた。
「でもね、きっとヒバリさんはディーノさんが好きなんだ」
分かっている。
ディーノは格好よくてやろうと思えば何でもこなせる男だ。
無理もない。
ツナだって彼を尊敬していた。
「オレの片思いなんだ。そんなのよくわかってるけどさ……やっぱり寂しいよ」
ツナはとつとつと喋る。
そうしていたら涙がでてきた。
ずっと黙って聞いていた骸が口を開く。
「辛いですね」
その綺麗な指でツナの涙を拭う。
同情とは違う、と何故だか分かった。
それが嬉しくてまた泣きそうになる。
そんなツナに骸は言った。
「何も手に入らないまま君は諦めるんですか?」