‡REBORN‡

□嘘
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真実は残酷。
誰の言葉だっけ?
全くそのとおりだ。
人を欺くために紡がれた嘘の方が優しい。



「ごめんね。……本当はさ、知ってたんだ」

何のこと。

「白蘭?」

彼が何を言おうとしているのだかオレにはさっぱり理解できなくて尋ねてみる。
自慢の超直感は全く使いものにならない。

「僕さ、綱クンがボンゴレのボスだって知ってたんだよ」

心がざわつく。
待って。どういうこと?それ。
オレを置いてったまま事態はとんでもない方向にどんどん向かっていってしまいそうだ。
白蘭は最近大きくなってきたミルフィオーレという名前のボスなんだと言っていた。
知り合ったのはほんの偶然でお互いに相手の仕事なんて知らなくて、親しくなっていくうちに2人ともマフィアのボスだったということを知ってすごい偶然だね、なんて言っていたのに。
白蘭は最初から知っていたの?
知らなかったのはオレだけなの?
縋るように見つめてみれば彼はあっさりと

「うん。知ってて近づいたんだ」

なんて言ってのけた。
そうなのかもしれない、と思っているだけなのと実際に口に出されるのとではだいぶ違う。
オレの目の前はぼやけていく。
真ん前にいる白蘭の顔でさえぼやけてみえる。

ーあれ……オレ……泣いてるの?

頬を伝う液体は紛れもなく涙と呼ばれるものなのにオレは自分が泣いていることが信じられなかった。
騙されたことが悔しかったから、だろうか。
いや、違う。
リボーンにはボンゴレを狙って近づいてくる奴には気をつけろって言われていた。
けれども、オレが泣くのはそのせいじゃない。
オレは彼を無条件に信じてしまっていたから、彼が自分を騙していたということに体の一部を失ったような痛みを感じているのだ。
その痛みに涙しているのだ。
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