‡REBORN‡

□嫌悪感
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「スパナ!!」

オレはスパナの仕事部屋に入り浸るのが好きで今日も学校から帰るなり飛び込んだ。
彼の部屋は、よく分からない部品や器具であふれてものすごいことになっているけれども、ある種の清々しさを感じさせる。

「ん……?あぁ、綱吉」

彼は部屋の中央に置かれたチャブダイとやらでお茶を飲んでいた。

ーヒバリさんと気、合いそうだよなぁ……。

それを見ながらオレは思った。
ヒバリさんというのはオレの通う中学の先輩でおそらく学校で一番恐れられている。
オレにとっての一番は違うんだけど。
それは誰か……?
六道骸に決まってる!!
彼も先輩の一人で成績優秀、容姿端麗。
理想の人間をそのまま現実世界にひっぱってきちゃったみたいな男だよね、といつだったかクラスの女子が言っていた。
でも、オレは絶対に彼には近付かないようにしている。

「それってほうじ茶?」

オレはスパナに尋ねてみる。
最近はそれに凝ってるって言ってたからまず間違いないんだけど。

「そう。飲むか?」

「うん」

オレはスパナの横に座った。
よくフローリングの上に長時間座ってられるよな、と妙なことに感心してしまう。
似非日本文化を楽しんでいる彼、名前のとおり日本人ではない。
ついでに家に一緒な住んでいるが家族だというわけでもなくオレの父が色々な事情のもと連れてきて居候しているのだ。
ものすごく日本が好きでそれはわざわざ洋室にチャブダイを持ち込んでいるあたりでわかると思う。
色々とこだわりの多い変人だけど……オレはスパナが好きだ。

「はい」

お茶の注がれた湯のみを渡される。

「ありがと」

オレは言ってコクコクと飲みだす。
湯気が温かい。
となりにはスパナがいて。
どうでもいいような日常だけれどもオレはこういう時、とても幸せだと思う。
妙にしみじみとした気持ちになっていたら

「あのさ、綱吉」

歯切れ悪くスパナが切り出してきた。
嫌な予感がした。

「な、何?スパナ」

「悪いけどウチ明日からイタリアに行くことになった」

な、なっ……。
オレはあまりの言葉に一瞬固まる。

「嘘っ。じゃあオレ家で一人ぼっちになっちゃうじゃん!!」

別に家に一人でいるのが怖いって年でもないがスパナがいないと寂しいよ、とは恥ずかしくてさすがに叫べなくてオレはそう言う。

「でも、ウチも居候させてもらってる身分だし家光が呼んでるのに無視するわけにもいかないんだよな」

父さんが呼び寄せたのか!

「それでさ、ウチもそれ聞いてからあんたのこと頼めるような奴を探したんだけどそしたら高校の知り合いが泊めてあげるって言ってた」

「えっ」

再び思考がフリーズする。
なんかとんでもない方向に話が……。

「いや、いいよ。オレ一人で留守番してるからっ!!」

「でも、綱吉。一人で家にいるのいやなんだろ?」

今更、“すっごい分かりにくいかもしれないけどオレなりに甘えがでたんです”とは言えない。

「……」

「入江って奴のトコ。“兄と自分の2人しかいない”って言ってたから気楽なんじゃないか?」

こ、断れない。
オレ、断れないんですけど。
結局オレはスパナが帰ってくるまでその入江さんのところに明日からお泊まりすることになったのだった。
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