‡REBORN‡

□殺人鬼〜狩猟編〜
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『本日未明、行方不明になっていた女性の遺体が発見され……』

テレビでニュースを見ながら、またか、とツナは思った。

『類をみない残虐な手口から一連の事件と同一犯なのではないかと警察の捜査は続いております……。』

朝っぱらから暗いニュース。
最近はずっとこんなのばかりだ。
現在日本を騒がせている殺人狂。
最初に騒ぎになりだしてからもう何ヶ月もたつのに未だにつかまらない。
分かっているだけで20人近くの女性が殺されているのにも関わらず。
手口は解明していないが目撃者がいないのを見るに鮮やかなものなのだろう。
そして、全く目撃情報がないため年齢はおろか性別さえもが分からないことがこの殺人鬼の存在をどこか都市伝説じみたものにし人々の興味と恐怖を煽ったのだった。
ツナの兄もかく言う一人で

「絶対に一人で道を歩いたらダメだせ?」

とニュースがやるごとにツナに言うのだった。
が、そんな兄の言葉をツナは聞き流していた。

「大丈夫ですってば。心配しすぎですよ、ディーノさん。だからブラコンだとか言われるんですよ」

そう言って笑って流していたほどだった。
だって殺人鬼の標的は皆、女性なのだ。
だから少年であるツナが狙われるはずもなくて。
そう思っていたからこそツナは今日、学校帰りに友人宅に寄って遊んでからかえることにしたのだった。
思わず夢中になっていたらあっという間に日は暮れていた。
ツナの家はその友人宅から離れていて歩いているうちに真っ暗になってしまった。
ツナは少し駆け足になりながら帰路をいそいだ。



誰かが後ろから追いかけてくる、と公園を抜けたあたりで気が付いた。
なんだか人の気配を感じたのだった。
最初は気のせい、もしくはただ方向が同じだけなのだろうと思っていたが少しツナが歩く速度を速めると同じように後ろの足音も早まって偶然じゃない、と気が付いてしまった。
一度気が付いてしまえばそれが明らかな意図を持って自分を追いかけてきているのも分かって。

―どうしよう。

ツナは泣きそうだった。
怖い。足が止まってしまいそうだ。
そんな時だった。
ツナのカバンが振動した。

―!?

ケータイに電話がかかってきているのだった。
救いを求めるようにツナはそれをとりだす。
サブディスプレイには兄の名前が表示されていた。

「ディーノさん!?」

「あぁ、良かった。遅いから心配しちゃったじゃねぇか」

ディーノの声が聞こえてくる。

「あ、あの」

ツナが言ったところでその声がただならぬ震えようなのにディーノは気が付いたようだった。

「……ツナ?」

「っ…ディーノさん……、オレ誰かにつけられてるみたい……なんです。うしろからずっと…、足音が聞こえてきて……」

ツナが言えばディーノはハッとしたように小さく息をのんだ。

「……今から行く。どの辺りだ?」

「公園…通り過ぎて……家の前の道……十字路とかのあるところ……」

「わかった。そこで待ってろ、ってわけにはいかねーよな……。じゃあ、できるだけ早く行くからツナもこっちに歩いてきてくれよ」

それだけ言ってじゃあ、とディーノは電話を切った。
ツーツー、という音が冷たく響く。
立ち尽くすわけにはいかなかった。
ツナはさらに足をはやめた……。
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