‡REBORN‡

□正しい兄弟関係
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それから数日後のことだった。
大学を卒業したあと、オレは成り行きで塾の講師をしていて、その日も授業に遅れないようにと早めにビルを訪れていた。
オレが一階の入り口のドアを開けようとしていると

「ねぇ、綱吉」

と後ろから呼びかけられた。
突然のことにびっくりして声をあげてしまいそうになるがその声が誰のものだったか位は分かったからオレはなんとかこらえる。

「恭弥君?」

オレは振り返る。
やっぱり彼だった。
学校からそのまま来たのか制服のままだ。
どうしてこんなところに来たのだろう?
恭弥君の通う中学から家までの通りにあるわけでもないし、この辺り特におもしろい場所があるわけでもない。

「どうしてここに?」

オレは尋ねた。
しかし、恭弥君はそれには答えずここなんだ、などと呟きながら塾の中へと入っていってしまう。
ここなんだって何が?
オレの働いてる場所がってことかな。

「ちょっと……塾外生が中をウロウロしてるのはよくないと思うんだけど……」

オレは恭弥君に言う。
本当はそこまで厳密な決まりはないけれどなんだか恥ずかしかったから。

「ふぅん。じゃあ、僕入塾するよ」

恭弥君はさらりと言った。
え?
オレが呆気にとられてる間に恭弥君はさっさと受付へ向かってしまった。
止める隙などなかった。
あれ、何かもう高校への進学は確定してるって母さん言ってた筈なのになんで。
事態がなかなかのみこめなかったオレだったが恭弥君が早々に手続きをすませて帰ったあと、室長に

「雲雀恭弥君の希望で彼の担当者は君になったからよろしく頼むよ」

と言われてようやくはっとした。
わざわざオレを指名するなんてそれはつまり、彼はオレがどの程度なのかを見てやろうなどと考えているのではないか、と。





今日もまた彼との時間が始まるのだ。
昔からテストや面接は嫌いだったけどそれらが両方いっぺんに行われるような感じだ、と思う。

「うぅっ……」

気が重い。

「大丈夫?綱クン。調子悪いなら休めば?」

ありがたい白蘭の言葉だったけど、ううんとオレは首を振る。
メンタルがやられてるだけだよってあれ。それも調子が悪いに入るのかな。
あ、そうだ。白蘭にグチってしまうというのもいいかもしれない。

「あのさ、白蘭」

オレは彼の顔を見上げた。
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