‡REBORN‡

□絶対君主制
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遠い親戚が死んだらしい。
なんでも借金に追われていたらしくそれから逃れるために、まだ中学生の1人息子を残して。

「ふぅん」

綱吉はそう話す父の秘書に興味なさそうに相槌を打った。

「お父様が今日その方を連れてこられるそうですよ」

男のその言葉にようやく表情を変えた。

「どうして……」

「借金を肩代わりしてあげたようですよ。綱吉様のお兄様がわりになれば、と」

良いお父様ですね、という秘書に綱吉は子どもらしくなく眉を顰めた。
新しい家族など必要ない、とその目は如実に語っていた。
と、下の方から玄関のドアの開く大きな音が聞こえてくる。
父が帰ってきたようだった。
おそらくはその男を連れて。

「一度お会いになられてはどうですか?」

秘書の言葉に綱吉はしぶしぶ椅子から立ち上がった。





応接間には父と見慣れぬ少年がいた。
これが自分の血縁なのか、と綱吉は見つめる。
服は上質なものではないが、顔立ちは美しく、すらりと伸びた肢体の持ち主であることも分かった。
赤と青の特異な瞳は綱吉がこれまでに見たどんな宝石よりも輝いて見えた。

「初めまして、綱吉君」

にこり、と微笑まれる。
人の良さそうな笑顔だった。
それに、見た目に違わず聞きほれそうになる良い声。
綱吉は少しだけ頭を下げた。
いくら美しい、とはいえ綱吉にはやはりこの少年が自分の家族になるだなんて考えられなかった。
彼にはボンゴレ社の直系であるという自負がある。
そんじょそこらの人間をお兄様と呼ぶなんてとても耐えられなかった。
だから

「名前は?」

と訊いた。

「六道骸、と言いますが……」

「じゃあ、骸って呼ぶね。ねぇ、父さん。骸をオレの部屋に連れてってもいい?」

もちろん、と父が頷くことは分かっていたが綱吉は問うた。
その返事が来る前に綱吉は席を立ち、骸の腕を引く。
驚いたように目を見張る骸のことなど気にもせず綱吉はぐいぐいと引っ張った。
自分に従うのが当然であるとでも言うように。
それは、世界有数の権力を誇る社の息子たる故の傲慢さえだった。
そして、それを咎めるものはいなかった。
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