‡REBORN‡

□絶対君主制
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綱吉の部屋は小学生に与えられたものにしては非常に大きかった。
否、大きすぎた。
通常のマンションの一室がそのまま収まってしまいそうだった。

「その辺にでも座っていてくれる?」

綱吉は骸の後ろにあるベッドを無造作に指した。

「えぇ……」

多少面食らいながらも骸は従う。
綱吉は骸と向かい合うようにその前に置かれたソファーに座った。
彼の均整のとれた体つきやなんかをじっと見ていると身体が妙な熱に浸食されていく気がして。
骸が悪いのだ、と綱吉は勝手に結論づけた。

「ねぇ、骸」

綱吉は手を後ろに伸ばしてそこの棚に飾ってあったランプを手に取った。
何をするのかと見守る骸の前で綱吉はそれを床へと落とした。
バリン!!と激しい音がしてランプは呆気なく割れた。
そのランプ一つあれば骸の両親は死なずに済んだであろう価値など綱吉は気にも止めなかった。

「綱吉君!?」

何をしたいのかは分からないがこのままで彼が怪我をするかもしれない、と立ち上がる骸のもとに綱吉はガラスを拾い上げて投げた。
それは骸の顔を裂き赤い線が彼の頬に走った。
思わず動きの止まった彼に

「勝手に動かないでよ」

と冷たく告げる。
しかし、綱吉の身体は骸の流すその血にさえも興奮を覚えていた。
足を包む靴下を脱ぎ捨て、綱吉は散らばるガラスの上に躊躇なく足をおいた。
立ち上がれば、自分の足に細かいガラスが食い込んだ。
綱吉は少しだけ痛みに声を漏らしたがそのまま骸の前まで歩いていく。
そして、その横に座るとにこりと笑っていった。

「足が痛くなっちゃったから、手当てしてくれない?」

自分でしたのだろう、と思いながらも手当て、と言われて骸は立ち上がろうとした。
何しろ向こうはあのボンゴレの実子なのだ。
そんな骸の腕を綱吉は掴んで爪を立てた。

「動かないでって、さっきオレ言ったじゃん」

理不尽な命令に骸は眉を寄せる。
手当てをして、と言ったり。
動くな、と言ったり。

「では……どうしろと言うんですか」

僅かに苛立ちながら骸は問う。

「オレの足を舐めてよ、って言ってるんだよ。骸」

信じられない言葉に骸は目を見開いた。
けれども、彼は己の立場を悟り大人しく頷いた。
人を屈伏させる歪んだ愉しみは綱吉をゾクゾクさせた。
彼は幼い故に純粋で……欲望に忠実だった。
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