‡REBORN‡

□chocolate box
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「六道君!!」

廊下の方から女子の声がしてタッタッという軽やかな足音がこちらへと近付いてきた。
彼女の手には可愛らしくラッピングのされた箱があった。
ツナがいると気まずいのかちらっと目をやってくる。
骸に渡したいのだろうか、と思ったツナは気をきかせてこの場から離れることにした。

「ありがと、骸」

と言うと、もらった箱を手に持ち、教室を飛び出した。







げた箱に行くために階段を降り始めたツナ。
誰もいない踊り場にさしかかると、不意に立ちどまった。
先程から箱の中身がどんなものなのか気になって仕方がなかったのだ。
荷物を下ろすとツナはその横にしゃがみこみ、箱へと手をかける。
その包装紙にかかれた名前はツナも知る有名な高級店のもので少し怯んでしまう。
無駄に慎重に包みをといていき、ようやくふたをあけることができた。

―わぁ……。

想像を超える豪華さ。
スタンダードなものからトリュフやらホワイトチョコまで様々な形のものが入っていた。
説明書きを見てみればフルーツ入りやお酒入りのものもあると書いてあった。

―すご。

ツナはまばたきを繰り返した。
こんなものを自分がもらってしまってよかったのだろうか、と不安になるが、あまりにも美味しそうなそれらを見ているうちに気が変わった。

―まぁ……、せっかくもらったんだし食べちゃっていいよね。

箱の中から一つ、ごくごく普通の丸い茶色を選ぶと口に含んだ。
ほのかな苦味のあるそれは口の中でどろり、と溶けていく。

―おいしい……。

ここが学校であることも忘れて、それを堪能する。
ついにそれは口の中から消えてしまった。
のこりは家で食べることにしようとふたを閉じて、包装紙はカバンに突っ込む。
さぁ、帰ろうかと立ち上がろうとしたところでツナはやっと自分が影の中にいることに気がついた。
ツナは恐る恐る後ろを振り返る。

「ヒバリさん……」

無意識のうちに唇の端についたチョコを舐めてしまう。
一番見られてはならない人に見られてしまっていた。
みるみるうちに青ざめるツナに

「自分が校則違反をしている自覚はあるみたいだね」

と彼は言った。
どこか楽しそうであったけれどツナにはそれに気がつく余裕はない。
ぐ、と腕を掴まれて無理やりに立たせられる。

「ヒ、ヒバリさん!?」

「指導が必要でしょ?早く」

そのまま引きずられてしまいそうになりツナは慌てた。

「ま、待って下さい!これは持ってかなくちゃ……」

そう言ってしっかりとチョコレートの箱を握りしめながら、カバンを拾い上げるツナを雲雀は無言で眺めた。
その眉はおもしろくない、とでもいうように顰められていた……。
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