‡REBORN‡

□Addiction
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「綱吉」

「だめ。だめだって……そういうの、はずかしい」

頬が熱くなるのを感じる。
今更睦言を恥じらうような関係でもないし、骸に言われるのは日常だ。可愛い。愛してます。生まれ変わっても君と添い遂げたい。骸の言葉は聞いていて恥ずかしくなるように甘やかで、けれど、どうしようもなく心が満たされて、幸せだと思わせてくれる。
けれど、自分が言うのは、やはり、恥ずかしい。
骸の方をこっそり窺ってみると、彼は引くつもりは無いようで、にこやかとも言える、彼にしては珍しい程純粋に楽しげな笑みを浮かべて、綱吉を眺めたままだった。
彼は綱吉とこのくだらないやりとりをするのも、恥ずかしがっている綱吉を見るのも、全て、本当に楽しくて……愛しくて堪らないのだ。そう思うと、言葉くらい、あげなくてはいけないような気がした。

「……むくろ」

呟くように言うが、素知らぬ振りをされる。

「っ……骸だよ、骸!何なんだよ、無視すんなよ!」

恥ずかしいじゃん、ばかなの。思わず叫んでしまって、布団に埋もれたくなった。骸が肩を震わせている様が視界に映るのだから、尚更だ。

「ごめんなさい。君は本当に……可愛い」

抱き締められて、そして、前髪を掻き上げ、額に唇を落とされる。戯れに骸が愛を示す、この一時が好きだ。
罪悪感はある。恭弥について、王国に残っていた昔の同僚に調べるよう秘密裏に頼んでいるのは確かだった。
その生死すら定かではない、自らの主。
綱吉は骸を皇帝として、恋人として、慕ってはいたけれど、それでも王として恭弥を想ってしまうのは多分この身に流れる血の為せる業なのだ。
恭弥が既に死んでいるのならばその亡骸を弔いたいし、生きているのならばその生を支えたい。
けれど、恭弥の情報はまるで手に入らない。最後に見たあの日から五年が過ぎた。誰も知らない場所で惨めな最期を遂げたから見つからないのではなくて、成長して容貌が変わったから見つからないのだと自分に言い聞かせるよう慰める。
綱吉を悩ませているのは、恭弥の情報を集めると同時にかつての同僚が入手した情報だった。
この帝国の水面下で、不穏な動きがあるのだという。体制への不満を煽り、革命を目論むような。あくまで、噂に過ぎないと同僚は言っていた。けれど、綱吉はそれがどうしても気になってしまう。

「僕は……君が僕以外のことを考えているのが厭です」
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