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□蛍
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坂を登り 開く広々と
穂波が揺れて 猶予う
金色の押し黙る

人が影 置き去りに 手招く
遮った川は深く
水分りの指先抜け

溶ける

夢からさめて 並み居る川門
ひとつ選び 扉めくると 砂に崩れた

七彩光り 枯れ木に刺さり燃えた
彷徨う水鶏 群になり岨に飛ぶ

辿り着いた 影は瞬く光を抱く

漣は稲穂 背押されて森に消えた
彼方に光 見え隠れ
暗闇で探す足跡 照らすものに集う
小さく求めあい

潦 歪んでは細濁り
絶え間無く

ああ 今さら 昇る光見て胸を裂く
小さな影と 背負うもの 噤み行く

歪み裂ける虹と 隠沼落ちた夢と 冷光

掠めて遠く!

ひらひらと光重なって架け橋になる
流れ深き森避けて
水に影短くして在る それぞれの夜明けを待つ
ひとつ増え ひとつ消え

誰が為に行き 誰が為に渡す重きか
七彩に問う 身を焦がす
橋を渡る人々に叫ぶが返答無く
手招きして溶けた

坂を登る その先に
穂波が光っている
今も 変わらず 今も

増えて 消えて 光っている


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