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□雫
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指差した先の上枝に明かり 頬を撫でる
ささめく きらら
おもいで こころ通せんぼ
揺れた 景の秀

鴇色に染まる 小さな頬
ぽけっとの中で結ぶ 愛しさ
吐息 牡丹雪と昇る相思
胸に積もっていく心 きらら

時代に流るる深雪の密める比翼の芽
寄り添う波 薄氷の下
水鏡映す月 たゆたえて細泳ぐ
星の舟 背に乗せながら

絆を思う日あればそれでよくて
妙に雪澄めたことも 言の葉に募った
下枝の影で

「そうね」
と紅涙に浮く静寂
ぽろり ぽろり と泣き虫屋さん
「山紫水明だ」
と目深帽子
ねえ ここがいいね
垂れ 声あげた

降り続く雪を指に託して流した
小舟浮かぶ 小夜の波間に
抱き締めた迷子 遙かより近くに頷き
はじめて泣いた 強がり屋さんが

幸せを数えたら 指が足りなくなった
寄せ合わせた頬の隙間を埋める迷い星

湖べりであそぶ綺羅星

小さくなる光の点滅に触れ
瞬く度に映る二人の影 妙により澄める

星が回る
飛んでいく影帽子 光飛沫に消ゆ

波紋に月踊り 舟昇る
糠星の川を
静かに揺れて
水脈は尖りなき朧

薄氷に鏤めて光る星がささめいて
二人の影を消していく

時代に流るる深雪の密める比翼の芽
摘んだのは 剥落の名残
幸せの意味と水漬き
去る風花抱き 思う

「あなたに会えてよかった」と

 

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