読物
□類い希なる少年
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「悠理は…誰?」
率直な疑問。
「うーん…やっぱり、打ち所が悪かったかぁ」
質問に答えてくれない。
少し挫折しそうだ。
「尋ねたい事があるのですが、よろしいですか?」
意を決して、再度尋ねる。
「ぁあ!!!」
ビクッ!
急に大きな声を出した彼女に驚きを隠せない。そして、またしても無視だ。
「どうなされました?」
一応聞いてみる。そろそろ返事をしてくれなきゃ泣きそうだ。
「うん、急がなきゃ悠理消えちゃう!!」
焦ったように話しだした。
「えっと‥だから悠理って…「貴方よ!!」」
ほぇ?
「!!……そうだっけ?」
言われてみればそんな気もするが、何故か何も思い出せないような、靄のかかった思考回路に少し苛立ちを感じる。
「どうせ何も思い出せないのでしょう?」
「…うん。」
「じゃあとりあえず契約して!じゃないと消えちゃうわ…。」
言われてみれば、指先が透けているように見える。
「それより、この血はどうゆうことですか?」
そう、身体中真っ赤な血がこびりついているのだ。
がしかし、
「『それより』?貴方死にたいの?何のために婆様の丸薬盗んできたと思ってんのよ!?」
あ、泣き出した。
「な、泣かないで下さいよ。」
「じゃあ契約して。」
いや、だから何故??
「契約したらどうなるのですか?」
とりあえず今一番気になることを聞いてみた。