太陽

□《第七章》
1ページ/22ページ








さて、そちらの世界の眞王陛下とやら。
私は貴殿の望みどおりに娘を育てあげたつもりだ。


黒い髪、黒い瞳、日本人のDNA。
優しい心と負けん気の強さに好奇心に正義感。



そもそも、何故私たち夫婦が、第二十……いくつだったかな……二十代後半の魔王を育てるなどという、重責を任されたのか見当もつかないのだが、私としてはかなりの傑作をお届けできたと自負している。
これは妻も同意見だ。



どうだね、うちの自慢の娘の、そちらの世界での活躍ぶりは?



だが、私達夫婦はその子を貴殿にさしあげるつもりはない。
勘違いされては困るが、あくまで彼女は『渋谷有利』なのだ。
不当な扱いを受けるようならば、どんな手段を使ってでも取り戻す。






なぁ有利、あっちでひどいことされたりしなかったか?
悩みがあったら、なんでも相談しろ。おとーさんの胸にどーんと飛び込んでおいで!
おとーさんはいつだって味方だからな!





つーかさぁ、ゆーちゃん最近、おとーさんに冷たくなーい?













「ごちそうさま。じゃ、いってくる」

「あらゆーちゃん、出掛けるの?」

「うん、水族館」

「Σなに!?水族館!?デートか!?デートなのかゆーちゃん!?」

「うるさい勝利。デートじゃない。健ちゃんと行くんだから」

「あんのくそガキ!ゆーちゃんとデートに行くなんて、メガネのくせに!それからお兄ちゃんと呼びなさい、ゆーちゃん!」

「だからデートじゃないってば。っていうか、勝利だってメガネでしょ?」







次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ