太陽

□《第十一章》
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「―――熱海?」

「アタミじゃなくて、ヒルドヤードの歓楽郷です。世界に名だたる享楽の街」

「あらゆる娯楽を取り揃えて贅の限りを尽くした街だって言ってたよね?」

「取り揃えてるはずですよ」

「だって、全然ラスベガスって感じじゃないよ?」



ジェットコースターもピラミッド型ホテルも噴水もステージもミュージカルもない。



「ベガスってこんな感じの都市じゃないんですか?」


アメリカ帰りといっても、米国全土を旅したわけではないらしい。


カジノですった体格のいいおじさんが肩を落として帰る姿よりも、浴衣の上に丹前で下駄履きの集団が、屯している光景が似合う土地。
もちろん実際に歩いているのは金髪や茶髪の人種ばかりだし、服も履き物も異世界デザインで和風な物などない。


でもなんか熱海。何故だろう。




「とにかく宿にチェックインして、早く温泉であったまろうよ。グレタの熱も下がったことだし」



街の入り口でコンラッドが荷物係にお金を渡してトランクを預ける。
見上げると正面には鳥居に似た型の赤いゲートがあって、天辺には丸い鏡が輝いていた。






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