太陽
□《第六章》
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島の乙女に恋をすりゃ
ヴァン・ダー火山も大噴火
ともに海は渡れねど見上げる空に同じ月
あコリャヴァン、ヴァン、ヴァンダーヴィーア、夢の島
一度きたなら忘られぬ
(手拍子)
―――以上、ヴァン・ダー・ヴィーア音頭、一番でした。
あたしとしてはこの、夢の島ってのはどうかと思うんだよね。
だって埋立地みたいなイメージあるし、それに……。
「ぜんっぜん、夢の島なんかじゃないしーッ!」
息が弾むし足が重い。
しかし登山道は果てしなく続き、ごねても叫んでも変わらない。
かれこれ四時間半前に上陸したあたしたちは、使われていない海の家で身形を整え、ほんの少し仮眠をとってから、すぐさま山登りを開始した。
道は舗装されてますから、子供でも楽に山頂まで行けますよ。
なんてコンラッドの知ったかぶった言葉に騙されて、スタートしたのが運の尽き。
「楽に登れる子供がいたら、世界スーパーチルド連に入れるってッ」
「なに言ってるんですか、こんな坂道。
登攀訓練にもなりゃしない」
「そんな登攀訓練なんて、いち女子高生には縁はないんです!」
ヴァン・ダー・ヴィーアは周囲百キロメートルくらいの火山島で、数多くの温泉に恵まれている。
海の幸も豊富なので、収入は観光資源に頼っている。
「はぁ〜……」
「……陛下、そんなにキツイならおぶりましょうか?」
「……いい、頑張る。それに、あたしよりヴォルフラムをおぶってあげてよ。やばい顔色だし」
船酔いがまだ残っている&登山での疲れがピークに来ているヴォルフラムは、朦朧としながらも答えた。
「だ、誰がコンラート、……なんかに、おぶられる……ものか、……うぷッ」
「ほら、こんな軽口叩けるんですから、ヴォルフは大丈夫ですよ」
どこが!?どこが大丈夫なんですか、コンラッドさんッ!?ι
後続きを引き離して一人旅をしていたヨザックが、振り向いて大きく手を振った。
「もうちょっとで休憩所があるよーん!」
「ちょっとってどれくらい!?」
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