太陽
□《第二章》
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「新王陛下っ」
ナイスミドルが足元に駆け寄る。
もう美形を見慣れてしまって、この男の外見がどうであろうとかまわなくなってしまった。
んー、えーとぉ、五十代にしては麗しい、くすんだ金髪と青い瞳のおじさま。
ただし瞳の奥の隠し扉に、卑劣な作戦を仕込む場所あり。
「私は、前王であり上王となる、フォンシュピッツヴェーグ卿ツェツィーリエの兄で、摂政としてこの国の繁栄のため働かせていただきましたフォンシュピッツヴェーグ・シュトッフェルでございます!
新王陛下のご無事のご帰還、心より歓迎いたします!」
「……あのさぁ、フォンシュピッツヴェーグ卿」
わざとくだけた口調で、跪く彼を見下ろし話しかける。
「貴方は、あたしと貴方の兄妹と、どっちに王様でいてほしいの?」
「………はっ!?」
さっきまで愛想笑いを浮かべていたナイスミドルが固まった。
即答できないあたり、我が身が一番可愛いんだろうな、この人は。
「はっもちろん、新王陛下にございます!王室の時機を見計らった交代は、総ての民の利ともなりましょう。新王陛下は全ての救い主、この国の将来をお造りになる、偉大なる魂の持ち主だとも聞き及んでおります」
なんて嘘くさい讚美の言葉。胸焼け起こしそう。
「人違いだと思うけど。あたしはそんな、偉大な魂の人じゃないもん」
「ご謙遜を!その漆黒の御髪、闇夜の瞳!陛下こそ魔族の頂点に立たれるお方です!」
この国では髪と目が黒ければ王様になれちゃうんですか?
あたしみたいな平均的な小娘に、あんた達みんな従うってわけ?
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