太陽

□《第四章》
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あたしの五つ年上の兄、渋谷勝利は、確かに頭はいい。

東京大学一橋で、エリート街道まっしぐらで将来は東京都知事になると豪語している兄。
……埼玉県民なのになんで東京都知事?




とにかく、あの兄に勉強を見てもらうくらいなら赤点とって補習の方を選ぶ。

だってあのバカ兄は、勉強を見てほしいと頼むたび、『お兄ちゃんと呼んだら教えてやる』だの、『この服を着たら答えを教えてやろう』だの、へんなプレイを強制してくる『ギャルゲー』好きのオタクだ。
でも周りには隠しているらしく、その事を知っているのは、家族と幼馴染みの健ちゃんだけ。


別に、『オタク』なのは構わないが、『ギャルゲー』の主人公にあたしの名前をつけたり、あたしにその格好をさせようとするのは本当にやめてほしい。










「あー、終わったぁ」

「お疲れさま。それじゃあ、休憩にしようか」

「ケーキケーキ♪お茶入れてくる♪」




部屋から出て、台所に向かい、お茶の準備をする。

ポットに水を入れようと、水道の蛇口を捻り、手が水に触れた時だった。



「ん?……あれっ」



何故か水が溜まりだした。
おかしい、栓なんてしてないのに、どんどん水は溜まり、そして………。



「Σうあっ!?」



いきなり手を掴まれた。
そのままグイグイ引っ張られる。



「ひぁ!健ちゃん!健ちゃーんっ!」



二階の部屋にいる幼馴染みを呼ぶが、聞こえていないのか降りて来ない。




「……あっ!」



混乱する頭で、あたしは気付く。



ひょっとして、また?
またあたしは喚ばれてるの?

引っ張られ、頭から水にダイブして、そのままどんどん沈んでゆく。








あとはもう、あの日と同じスターツアーズ。







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