太陽

□《第五章》
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「姫君、お飲み物をどうぞ」

「ありがとう」



差し出されたグラスを反射的に受け取った。
コンラッドではない。



「えっと……」

「よろしければ、私と一曲踊っていただけませんか?」



金茶の髪をオールバックにした、身なりのいい青年だった。



「ご、ごめんなさい、あたし踊れな……」

「彼よりも私と踊りましょう、姫」

「え、わっ」



いきなり横から手を引かれた。また違う男性だ。
濃い紫色の髪をしていてこちらも身なりが整っている。



「無礼だぞ!姫は慎ましく、清楚な方なのだ」



またまた男性が来た。
あのフライドチキンの骨を投げ捨てた男の人だ。

っていうか、姫って誰のこと?ι
まさか、あたし!?



「姫、私と踊りましょう」

「いえ、この私と」

「姫と踊るのはこのオレだ」

「姫、どうか一曲」

「僕は最後でもかまわないよ」


……増えやがった。


「ごめんなさい。あたしは誰とも踊れません」

「そう仰らずに!」

「お願いします。一曲だけ」

「私と踊ってください」


しつこい!

あぁ、コンラッド早く戻ってきてよ。
すぐ戻るって言ったのに。



「ちょっと貴方たち。一人の女の子に寄って集って、あんまりなんじゃなぁい?」


男性陣の後ろからハスキーな声が響き、全員がそちらを向いた。






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