太陽
□《第七章》
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というわけで、ふられたも同然と決めて落ち込んでいる健ちゃんと一緒にシーワールドに向かう。
カップルや親子連れで込み合う水族館を縫うように進んだ。
「そういえば有利、明日は誕生日だったよね?なにか欲しい物ある?」
「んー、これといって特には……」
「ないの?」
「うん、ない。適当でいいよ、プレゼントなんて」
「うわ、可愛げがないなぁ、有利は。
それでもキミ、女の子かい?」
「うっさい、ばかヤロー」
そう言って健ちゃんに肘鉄をくらわした。
「Σぐふっ、そこがダメなんだって有利ι」
「あらごめんあそばせー?」
「なにそれ、僕はキミをそんな可愛げのない子に育てた覚えはないよ?」
「育てられた覚えはありませーん」
そんな他愛ない(?)会話をしながら歩いているうちに、水族館の出口から移動して、海のお友達ショーコーナまで来た。
急に暑さが襲ってくる。
笑顔の係員さんに緑色の紙切れを受け取り、水色のベンチに座る。
正面には真っ白なステージと、内部を見られる大きなプールが広がっていた。
ステージでは調教師の指示で、アザラシがサッカーボールをヘディングしてバスケットのゴールにシュート。
続いてウェットスーツ姿の女の人が、ピンクの箱を思い切り転がした。
なにがでるかな、ってやつだ。
「はーい、二十七番のお客様ーぁ!
どうぞステージ上にいらしてくださーい」
「すごいぞ有利ッ、こんな満員の中で当選するなんて!」
「へ?」
「ナンバーカード二十七番のお客様ーぁ、いらっしゃいましたらどうぞステージにー」
握った紙を開いてみると、緑の中央に該当番号が。どうやらあたしが当たったらしい。
「ほら早く、有利!」
健ちゃんが腕を引っ張って、わがことのように嬉々として階段を降りる。
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