べーこんれたす缶

□I love you は難しい
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「……小十郎。」
 
 
返ってくる言葉はない。
当然だ。俺は今、執務室に缶詰め状態なのだから。いつから小十郎に会ってないんだろう。確か数日前からだった気がする。
 
サボり癖のある俺が漸く危機感を感じたのは積もりに積もった書類の波に襲われた時。……何してたんだ、俺。
 
いつも執務が溜まった時、呆れながらも小十郎が片付けてくれていた。そんな小十郎は今、収穫の秋だ実りの秋だと趣味の野菜作りを楽しんでいる。口元を緩ませていそいそと芋を収穫する極殺軍師に執務をさせるのは気が引けるし迷惑を掛けたくない。「政宗様も一国の主としての自覚が出来てきましたな」なんて事ではないと思う。つまりは全部小十郎なんだ。
 
 
残り一つとなった書簡に目を通し、さらさらと筆を滑らす。
 
小十郎、小十郎、小十郎。
 
最後に墨が滲んでしまったが溜め込んでいた執務は全て終えた。
 
 
好き、好き、好き。
 
 
いつから伝えてないんだろう。
部屋に籠もりながらもずっと唱えていたけれど、一人呟く愛の言葉は滑稽で。常に気持ちを伝えていないとどうしようもなく不安になる。
 
もう縛られるものは何もないんだ、思い切り甘えたって許されるだろう。【好きだ】って耳にタコが出来るくらい叫んでやる。
 
 
城の裏にある畑。近いはずなのにひどく遠く感じた。





畝を崩さないようにそーっと近付くと、直ぐにこっちに気付き「政宗様!」と声を掛けてきた。いつでも神経を尖らせているあたりが小十郎らしい。

その距離、凡そ二尺。
久しぶりに近くで見る小十郎はいつもより逞しくCoolに見えて。
心臓がうるさく鳴り響く。
 

「…政宗様、ちなみに執務の方はいかがされましたか?」


どうやらさぼって此処に来ていると思っているらしい。自分の日頃の行いが悪い所為だが小十郎に分かるように口を尖らせて

「終わった。全部だぞ、全、部!」

そう吐き捨てると
フ、と笑った後少し眉間に皺を寄せて


「あれだけの量を数日で終える事が出来るのですから毎日コツコツとして頂きたいですな。大体、政宗様は…


「っ小十郎!」


ブツブツと小言を言われる前に名前を呼んでそれを制止する。

俺は小言を言われに来た訳じゃねえ。


「…あのな、小十郎。」


好きだ。


たった一言なのに喉で支えて中々出てこない。小十郎は次の言葉を首をかしげながら待っている。


「お、俺は…」


一秒一秒が長く感じる。
顔が赤くなるのがわかる。
足も小刻みに震えてきた。

前は簡単に好きだと言えたのに、ちょっと小十郎の顔を見てなかっただけでこんなに恥ずかしくて、緊張するのか…


「……政宗様?」


「…I'm cragy for you.」


「あ、あの政宗様意味は…?」


「自分で調べろ、ばかこじゅ!」

「…は、はぁ……。」

 

私は貴方に夢中です。


END


‐‐‐‐‐‐‐

大分時間のかかった
小十政でした´`;
た、確か一週間くらい
ずっとメールの保存BOXに…←

ちなみに、かなりタイトルが気に入りませんorz
センスが欲しい…っ

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