べーこんれたす缶

□眠り姫の朝は早い
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スタスタと、規則的な足音が近づいてくる。鼓膜が震える度、ぼやけた視界がくっきりと、起きたばかりの頭は徐々に覚醒していく。この心地いい足音の主は小十郎だ。

今日はどんな風に起こされてやろうか

高揚する悪戯心を深呼吸して押さえつけて。布団をかぶって目を閉じてとりあえず寝てるフリを決め込んだ。


「失礼致します。」
 

来た!
 
スパンと気持ちのいい襖の収まる音、どんどん近くなる足音。ドキドキする。小さい頃よくやった悪戯をしてる時みたいだ。


「政宗様」


政宗様、起きて下され。
小十郎は優しく優しくとんとんと背中を叩いた。
それでも起きない場合(大抵はこれでは起きない)は顔を近づけさっきよりも大きな声で名前を呼びながら体を優しく揺らす。 

元服する前から毎朝毎朝同じ事を繰り返しているので、小十郎の行動パターンなんてお見通しだ。

いつもと同じように肩へと伸ばした小十郎の手をしっかり掴むと思い切りぐいっと引っ張る。すると突然のその一連の動作に小十郎の重心は前に傾く。

政宗の標的は形の良い薄い唇。


ゴツッ!


「「っ…!!」」

 
二人は同時に口元に手を伸ばした。 

口の中に鉄の味が広がる。
朝の奇襲は失敗だ。長身の小十郎の体重と六爪を自在に操る自分の腕力を計りかねた。


「政宗様、お早う御座います…」
「…Good morning……」
「お、お怪我はありませぬか」


少し唇を切ったけど大した傷ではない。それよりも恥ずかしい、真田幸村じゃないが火が出そうだ、顔から。


「No problem.お、お前は」
「こ、小十郎は大丈夫です。ふっ、はは」
「わわ笑うな!!」
「す、すみません、くくっ」
「shit!小十郎!!」
「…はっ、すみません」


小十郎はまだ震えている肩と、口元を手で隠しながら、

貴方があまりにお可愛いらしいので、つい。
 
なんて。嗚呼、余裕ぶったそーゆー所がムカつく。悔しい。少しは慌ててみせろ。


まだ笑っている小十郎をムスっと咎めるように睨みつける、と。

ふわり、甘くて、とろとろにとけてしまいそうなキスを一つ。


「お許し頂けませんか?」


ずるい、ずるいずるい。そんな、お許し頂けるに決まってんのに、わざわざ聞くな馬鹿!!


眠り姫の朝は早い。
長い一日は始まったばかりで、王子様は何度もキスの奇襲にあうの。


END


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年の差カプの最大の萌え所は
余裕たっぷり攻めと
余裕無い受けだと
思うんです←

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