□瞬
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『やっと来た』



太陽に忌み嫌われる俺達にとっての唯一の支え




それが新月





今日は愛しいキミに出会える日


佐助は森に来ていた。
辺りは生き物の気配もなくしんとしていた。居るのは佐助ただ一人。


いきなり強い風が森を吹きぬけ、佐助の髪を揺らした。

「おっと、強い風だねぇ」

風が吹き抜けると辺りはしんと静かになった。

「・・・来てたんだ。小太郎」

佐助は新月を眺めながら後ろにいる人物に言った。

「久しぶり、逢いたかったよ」

小太郎の服装は漆黒の羽根をまとった忍装束であり、それはさながら闇に生ける鴉のようだ。
兜のせいで顔は見えないが、佐助が話しかけたことで殺気を放っていた小太郎のオーラがやわらかくなったのが分かった。

「隣に座っていい?」

「(コクン)」

小太郎の隣に座ると佐助は新月を眺めた。

「この一ヶ月凄く長く感じたよ。今日をどんなに待ち焦がれていたか。・・・小太郎、」

「?」

「兜取っても良い?小太郎が見たいんだ」

「(コクン)」

小太郎の許可を得ると佐助は兜の紐を外し、ゆっくり取った。
兜の下には、赤い髪に忍化粧をしていた顔が隠れていた。

「・・・やっと小太郎に逢えた」

赤い前髪に隠れた顔のラインを撫でるように、存在を確かめるように佐助は触った。
自分の顔を撫でている佐助の手を小太郎はそっと掴み、その手を自分の胸に置いた。

「小太郎?」

小太郎の意図が分からず佐助は困惑していた。すると小太郎はそっと佐助の耳元で囁いた。


『俺はちゃんと此処にいる。佐助の目の前にちゃんと』


佐助は一瞬驚いたがすぐ笑顔になった。

「ありがと小太郎。大好きだよ」

「///」

佐助がそう言うと一気に顔が赤くなり、小太郎は顔を隠した。

「照れてるんだ。可愛いなぁ小太郎は」


Fin
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