リストラ怪奇譚

□第7話 解雇俺欲金時〜How much?
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笹野「2人とも朝ですよ、起きてください。」
綾瀬「う〜ん、おはよう・・・。」
田中「おはよう。」
笹野「おはようございます、では早速行きましょうか。」
田中「ああ。」
綾瀬「まだ眠いよぉ・・・。」
田中「かごめちゃんは朝が弱いのか。」
綾瀬「そうなの・・・。」
笹野「眠いのなら車の中で寝てもらって構いません。
   田中さんの家は遠いですから。」
田中「ああ。」
綾瀬「分かったよ、そうさせてもらうね。」
田中「運転は俺がやる。」
笹野「分かりました、任せます。」
三人は車に乗り込む。
田中「とりあえず車に積んだものを整理しよう。」
笹野「食糧に毛布、それと家の中の全財産ですね。」
田中「そうだな、この家にはもう来ないだろうしな。」
笹野「となると、銀行からもお金を卸す必要がありますね。」
田中「パチンコで使ったのが、財布に入っていた金額だけだったのは助かった・・・。」
笹野「これだけあれば生活には困りません。
   問題は、これらの財産が尽きる前に以前の生活を取り戻すことです。」
綾瀬「zzz・・・。」
田中「かごめちゃん、もう寝ちゃってるよ。」
笹野「よほど疲れていたのでしょう。」
田中「じゃ、そろそろ発進するか・・・目的地はオレの家だ。」
笹野「私は体力温存の為に眠っています、運転を変わる時は声を掛けてください。」
田中「分かった。」
田中は車を発進した。

根森「畜生・・・じっと待ってるしかねーのかよ・・・。」
堀部「腹が減ったな・・・。」
烏浪隻がくれた食料はすぐに尽きてしまった。
大人数だと、食料の減りも早くなるのだ。
枯鐘「流石にこの人数じゃね・・・。」
滋賀野「二人が出てから一日が経つ、今日中にでも戻ってくれるといいのだが・・・。」
菊崎「あの二人が食料と生活費を持ってきてくれるまでの辛抱だ。」
根森「そうだな、今はそれまで待とう。」

田中「流石に、車でも相当な距離だな・・・。」
綾瀬「zzz・・・。」
笹野「zzz・・・。」
田中「途中でガソリンスタンドに寄った方がいいか。
   それにしても、着くまで体力が持ちそうにない。
   ガソリン入れたら笹野に代わってもらうか。」
田中は車を走らせている・・・。
田中「もうすぐ、ガソリンスタンドだ。」
綾瀬「ん・・・むにゃむにゃ、シュークリームがいっぱい・・・。」
田中「・・・のんきだな、かごめちゃんは。」
しばらく車を走らせていると、ガソリンスタンドが見えた。
田中「よし、あそこに寄ろう。」
田中はガソリンスタンドに寄った。
田中「笹野、起きてくれ。」
笹野「ん・・・何でしょうか?」
田中「今からガソリンを入れる、終わったら交代してくれ。」
笹野「分かりました。」
しばらくしてガソリンが入れ終わり、運転は笹野に代わった。
田中「それじゃあオレはしばらく寝る、後は頼んだ。」
笹野「あ、田中さん・・・貴方の家が分からないのですが。」
田中「ああ、そうだな・・・じゃあカーナビに映しておく。」
笹野「分かりました。」
田中「(ふぅ、これで休める・・・。)」
綾瀬「zzz・・・。」
田中「(それにしても、よく寝てるな・・・。)」
綾瀬「zzz・・・。」
田中「(オレも寝るか。)」

冴木「おはよう、遥誠君。」
伊藤「おはよう、八郎君。」
冴木「・・・社長はおそらく昨日、田中達に会いに行っただろうね。」
伊藤「まあ、それで何か変わる訳でもねえ。」
冴木「どうだろうね、社長にはどれだけの力があるのか・・・。
   二人を再び会社に呼び戻すこともできるかも知れない。
   社長が二人に会って何をしていたか分からない以上、
警戒する必要はありそうだね。」
伊藤「何か手を打つか?」
冴木「まあ待て、あの二人は路地裏で集団生活をしている。
   そこを抜けたら・・・二人は裏切り者になるだろう。
   そうなれば彼等は仲間割れし、自滅する・・・。」
伊藤「なるほどな、そういう所はお前の方が頭が回るな。」
冴木「しかしこれもあくまで憶測・・・やはり警戒はしておいた方がいい。」
伊藤「了解。」
冴木「ああ、そうそう・・・面白い話がありますよ。」
伊藤「またあのハゲ部長の話か?」
冴木「よく分かったねぇ、そうなんだよ。
   実は昨日ね、部長と勝負をしたんです。
   君があの仕事をできるか、できないか。
   私はできる方に賭けました。
   そして負けた方がラーメンを奢るんです。」
伊藤「ハハハ!そうだったのか。」
冴木「そしてもちろん私は、ラーメンを奢ってもらいましたよ。」
伊藤「そいつはいいや!」
冴木「あの時の部長の驚いたマヌケな顔・・・何度思い出しても笑えますね!」
伊藤「おいおい・・・オレも誘ってくれりゃよかったのによ。」
冴木「すみませんねえ・・・本人に内緒の賭け事だったもので。」
伊藤「まあ、いいけどよ・・・ところでどう手を打つんだ?」
冴木「その件ですか・・・そうですね、とりあえず様子を見ましょう。
   今はそれしかできませんねぇ・・・。」
伊藤「そうか、じゃあまずは偵察にでも行くか?」
冴木「そうですね・・・幸い場所は分かりますし、行ってみてもいいでしょう。
   しかし私は彼等に顔を知られています、行くなら君がいい。」
伊藤「分かった、じゃあその場所に案内してくれ。」
冴木「いいでしょう。」

笹野「田中さん、着きましたよ。」
田中「ん・・・そうか、もう着いたのか。」
綾瀬「むにゃむにゃ・・・。」
田中「かごめちゃん、着いたよ。」
綾瀬「駄目ぇ、まだ食べるのぉ〜・・・。」
田中「寝ぼけてるな。」
笹野「そのようですね。」
田中「か〜ご〜め〜ちゃん!」
田中は綾瀬の頬を軽くつつく。
綾瀬「ふぇ!?」
田中「着いたよ。」
綾瀬「え?ああ、もう着いたんだ。」
田中「じゃ、降りようか。」
笹野「そうですね。」
三人は車を降り、家に入っていく。
田中「ここでもやることは昨日と同じ、食料と生活費、あと必要なものを車に積む。
   みんなを待たせてるだろうから、終わったら昼食を済ませてすぐに帰るぞ。」
綾瀬「先にご飯食べた〜い!」
田中「君は夢の中でいっぱい食べてたでしょ。」
綾瀬「何で分かるの!?」
田中「寝言言ってたよ。」
綾瀬「あぅ、恥ずかしい・・・。」
笹野「しかし、確かにもう昼ですね・・・先に昼食にしますか。」
綾瀬「やたー!」
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