リストラ怪奇譚

□第2話 感傷旅行〜Be of bad Restra
1ページ/1ページ

田中「みんなに、言いたいことがあるんだ・・・。」
滋賀野「何だ?」
田中「もう、仕事を見つけることは出来ない・・・そんなことは分かってるんだ。
   でも、このままじっとしているなんてオレは嫌なんだ。」
滋賀野「・・・どうする気だ?」
田中「・・・パチンコを、やりに行きたい。」
根森「おいおい・・・そんなもんが当たるとでも思ってんのかぁ?
やめておけ・・・絶対に後悔するぜ?」
田中「後悔なんかしない・・・決心は付いてるんだ。
   例えどんな結果が待っていたとしても、それは運命だ・・・ってな。」
根森「・・・どうしてもってんならオレは止めない。
   隊長、どうしやす?」
滋賀野「・・・我々は、お前の見方だ田中よ。
    お前がパチンコをやりたいというのなら、共に戦おうじゃないか!」
根森「・・・ハハッ、言うと思ったぜ・・・。
   だが一文無しのオレはパチンコに参加できねぇ・・・悪ぃな。」
堀部「オレも参加するぜ、パチンコをやるだけの金はあるからな。
枯鐘、お前はどうだ?」
枯鐘「オレも参加するよ。」
菊崎「オレは、悪いが無理だ・・・根森副隊長同様一文無しでな。」
田中「笹野はどうするんだ?」
笹野「私ですか・・・そうですね・・・。
   参加させてもらいます。」
滋賀野「よし、これで参加者は田中、笹野、オレ、堀部、枯鐘だな。
それでは移動しようか。」
田中「・・・どこに?」
滋賀野「ここから一番近い、パチンコのある町・・・八雲だよ。」
堀部「八雲か・・・オレの故郷だな。」
笹野「それでは、行きましょうか・・・。」
堀部「(八雲・・・。)」
========================================
教師A「堀部!!また暴力を振るったのか!!」
堀部「こいつが悪いんだ・・・生意気な口を聞くからな。」
冴木「君は暴力でしか解決できないのか・・・所詮クズなんだね。」
堀部「んだとこらぁ!!!」
教師A「堀部!!」
こいつは冴木 八郎、校内トップの成績を持つエリートだ。
教師からの信頼は厚いが、生徒からは嫌われている。
教師A「冴木の言う通りだ・・・お前はクズなんだ。
    彼とお前とでは住む世界が違うんだよ!
    ・・・とにかく、お前には指導が必要だな。」
冴木は別れ際にこう言った。
冴木「負け組が・・・ンッフフフフ・・・アハハハハハハ!哀れだねぇ・・・。」
あいつはオレを見下し、あざ笑っていた。
・・・オレは生徒指導室に入った。
そこには、教師達数人が待っていた。
教師B「堀部、また問題を起こしたのか。」
堀部「・・・。」
教師C「何か言ったらどうなんだ?」
堀部「・・・言うことなんかねぇよ。」
教師A「何ぃ!?お前、自分が今まで何度人に迷惑を掛けたか分かってんのか!?」
堀部「知るかよ。」
教師B「まあいいでしょう・・・彼には何を言っても無駄ですよ。」
教師D「・・・それもそうだな、とにかく堀部、お前は停学処分だ。」
教師B「退学にならないだけ有り難く思いなさい・・・。」
教師A「その通りだ!学校に置いてもらっているだけ有り難く思うんだなぁ!!」
教師B「それでは皆さん、行きましょう・・・。」
教師達は去っていった・・・。
堀部「・・・。」
========================================
根森「おいおい、徒歩で行くのかよ?」
滋賀野「仕方ないだろう、交通費削減の為だ。」
根森「ハァ、パチンコ店に行く前に疲れちまうっての。」
田中「確かにそうだな・・・。」
笹野「貴方が決めたことですよ、田中さん。」
田中「徒歩で行くなんて誰が言ったよ?」
笹野「考えれば分かることでしょう、私たちがどういう集団なのか。」
田中「あんなに楽器も持ってるしファブリーズも大量に所持してるし・・・。
   自動車かバスの一台くらいあると思ったよ。」
根森「調子に乗んな、んなもんねぇよ。
   全部売っちまって、あの楽器を買ったんだからよ。」
田中「何で売って楽器なんて買うんだよ。」
滋賀野「それは、我らの覚悟を確認し合う為だ。」
田中「覚悟・・・か。」
堀部「・・・八雲まではどれくらいだ?」
滋賀野「1時間くらいだな。」
根森「!そ、そんなに掛かんのかよぉ!?」
堀部「・・・そうか・・・。」
枯鐘「そう言えば、戒規の故郷って、八雲?」
堀部「・・・そうだ、俺は八雲中学校の卒業生だ。」
枯鐘「八雲に行くのは辛いんじゃないか?」
堀部「そうだな・・・だが、大丈夫だ・・・。」
枯鐘「なら、いいけど・・・。」

路地裏同盟は八雲へと、ひたすら歩き続けた・・・。
そして、遂に辿りついた。

田中「ここが、八雲・・・。」
笹野「パチンコ店はあれですね。」
「おやおや、堀部君ではないですかぁ。」
堀部「!!・・・テメェ・・・冴木か。」
冴木「覚えていてくれたんですねぇ、いやぁ〜奇遇だなぁまた逢えるなんて。
   君のアホ面、またいつか拝みたいと思っていましたよ。」
滋賀野「・・・知り合いか?」
根森「感じ悪ィ奴だぜ。」
冴木「おやぁ?その人達は誰ですかぁ?仕事仲間ですかぁ?
   貴方は中卒で、よく働いていますねぇ。」
堀部「違う・・・。」
冴木「仕事仲間でパチンコ店に行く途中でしたかぁ。
いけませんよぉ?そんなものは、金をドブに捨てるようなモノですからねぇ?」
堀部「違うっつってるだろ!!」
冴木「違う?何が違うのか私には分からないのですが。
仕事中でしたかぁ?これは失礼です、パチンコなんてするはずないですものねぇ?」
堀部「嫌みかよ・・・皮肉で言ってんのかよ。」
冴木「それで、何の仕事に就いたのですかぁ?中卒なので、バイトですよねぇ?」
堀部「・・・俺はテメェになんか用はねぇんだよ・・・じゃあな。」
冴木「待ってください、そんな冷たいことは言わないでくださいよ。」
堀部「うるせぇよ・・・。」
冴木「なんのバイトですかぁ?教えてくださいよ、さぁさぁ。」
堀部「うるせぇ!!」
ドガ!
田中「!!・・・戒規・・・。」
冴木「すぐに暴力、何も変わってないですねぇ堀部君は。
   私は中卒のクズがどんなバイトをしているのかが聞きたかっただけですのに。
   たまに気になるんですよ、そして想像してにやけてしまうんですよ。」
堀部「妄想癖野郎が、勝手ににやけてろ。」
冴木「貴方には分からないでしょう、勝ち組の気持ちが。
   ・・・楽しくて仕方がありませんよぉ?
人を見下せる立場にいるのって、幸せだと思いません?」
堀部「俺には分かんねぇな。」
冴木「ですよねぇ!!?アッハハハハハ!!!」
根森「おいテメェ・・・さっきから聞いてりゃ、その声耳障りなんだよ。
しゃべれなくしてやろうかぁ?」
冴木「誰ですかその人は?貴方の不良仲間ですかぁ?
   すぐ暴力、貴方と同じですね、アハハハハ!」
根森「思い上がりやがって・・・その根性たたき直してやるぜ・・・。」
根森は竹刀を取り出す。
冴木「いいんですかぁ?そんな物騒なモノを出して、警察を呼びますよぉ?」
根森「クッ・・・畜生・・・。」
冴木「アハハ!なかなかいい表情ですねぇ・・・。
そう言えば聞いてませんでした、何のバイトですかぁ?堀部君。」
堀部「・・・仕事なんかねぇよ。」
冴木「ん?何とおっしゃいましたぁ?」
堀部「だから仕事なんかねぇって言ったんだよ!」
冴木「仕事が・・・無い!?無職って奴ですかぁ?アッハハハハハ!!!
   まさかここまでのクズとは・・・呆れましたねぇニートですかぁ・・・。」
堀部「これが聞けて満足かよ?」
冴木「ええ十分に満足ですよぉ?」
堀部「そうかよ・・・これで用が済んだろ?
俺はテメェみてぇなのに何と思われようと関係ねぇよ。」
冴木「そうですかぁそれでは・・・ご機嫌よう、皆さん?」
冴木は去っていった・・・。
田中「何だったんだ、あいつ・・・。」
堀部「冴木 八郎・・・俺の中学時代のクラスメートだ。」
菊崎「嫌な奴・・・。」
根森「気に食わねぇな、あの野郎・・・。」
堀部「あいつ、前より更に嫌みったらしくなってたな。
   前は敬語なんか使わなかったのによ・・・。
   それに一人称も僕から私に変わってやがる・・・。
2人称も君から貴方に・・・。」
田中「・・・1人称が僕、2人称が君・・・。」
笹野「河辺部長みたいですね。」
田中「ああ・・・。」
堀部「河辺部長?」
田中「俺達の部長だ・・・眼鏡で、頭が禿げてんだぜ?」
根森「それは腹立つな・・・。」
枯鐘「お前等の部長が容易に想像できるよ。」
笹野「河辺 高典という名です、覚えておいて損は無いでしょう、伝説の人ですからね。路地裏同盟の敵の一人です。」
堀部「冴木 八郎、この名も覚えておいてくれ。
こいつも路地裏同盟の敵の一人だな。」
滋賀野「我らは、仲間だ。常に共に戦うことを誓う。」
根森「てなわけで、行こうや・・・!」
田中「ああ・・・!」
枯鐘「パチンコ店“村雲”へ・・・!」

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ