長編、連載夢

□現実逃避 壱
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「こりゃ少し、ならさないとな。
まったく、私は一体どれだけ寝ていたんだ」


手を借りて、おぼつかない足取りで、出口を目指す。


………本当に、情けない


「あんたが封印されてから、100年経った」


「100年…も、私は寝てたって事か」


「そういう事になる」


100年… 100年か…

心の中で、ゆっくりと、
何度もその単語を繰り返す。


少し歩くと、出口が見え

光が眼に入った


「眩し…っ……」


眼を細めた私を見ると彼は
驚いた様な顔をした。


「どうした?」


「いや…余りに若かったから………」


マジマジと私を見ながら
彼は付け足す。


「暗くて顔は見え辛かったし…」


「そうか……。私の成長は、16の時に止まった」


だからこのサイズか。と、私と自分の身長を彼は手で比べた。


「見た目が子供だから、心配なのか?」


「いや」


以外とあっさり答えられる


「あんたの仕事には、信憑性がある」



「………有り難いものね」


軽く笑みを零し、体をグリグリとねじる。
パキパキと音が妙に心地良い。


「ここから暫く歩くが…平気か?」


「あぁ、リハビリついでに歩いてやるよ」


あれ?と彼が首をかしげる


「なんかさっきとキャラ違うくないか?」


「あ…そっか!どうもシックリ来ないと思ってたら
私タメ口キャラだった。」


「は?」


「いや、起きた時からなんか引っ掛かってたんだ。あースッキリした」


彼が固まったのもお構いなしに、私は続けて


「という訳で、今からタメで行くんでよろしく」


というと彼は


「ウチにまともなのは入って来ないんだな」


と、静かに涙を流した。



「もっと普通にリーダーを慕う人間は…」


「へー、あんたリーダーだったんだ」


「…………一応」


「だったらもっと威厳無くちゃ、ナメられるよ」


「…………はい。頑張ります(泣)」



END
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