紅 蘭 学 園
□プロローグ
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『籠に囚われている鳥のよう。外の世界を知ることさえできず、狭いこの場所で死だけを望まれてきた者。』
かつてまだ幼い少女が自分を例えて言った言葉――――。
数年前――――――
ある大きな屋敷の離れに1人の少女が住んでいた。
日本人離れの金髪と青い目。
「失礼致します。――様。ご当主がお呼びでございます。」
『お祖父様が・・・・。わかったわ。』
「宜しいのですか?――様、本日は・・・・・・。」
『しょうが無いわ。ご当主であるお祖父様には逆らえないもの。』
少女は悲しそうな顔をした。
「――様。」
『それじゃあ、行ってくるわね。
ありがとう・・・・』
女の人を安心させるために微笑む。
「いってらっしゃいませ・・・・。」
ススッ
この部屋ともおさらばかもしれないわね。
少女は襖をしめて、目的の場所へむかった。