紅 蘭 学 園


□プロローグ
1ページ/4ページ



『籠に囚われている鳥のよう。外の世界を知ることさえできず、狭いこの場所で死だけを望まれてきた者。』


かつてまだ幼い少女が自分を例えて言った言葉――――。



数年前――――――

ある大きな屋敷の離れに1人の少女が住んでいた。


日本人離れの金髪と青い目。


「失礼致します。――様。ご当主がお呼びでございます。」

『お祖父様が・・・・。わかったわ。』

「宜しいのですか?――様、本日は・・・・・・。」


『しょうが無いわ。ご当主であるお祖父様には逆らえないもの。』


少女は悲しそうな顔をした。


「――様。」


『それじゃあ、行ってくるわね。

ありがとう・・・・』


女の人を安心させるために微笑む。


「いってらっしゃいませ・・・・。」


ススッ


この部屋ともおさらばかもしれないわね。


少女は襖をしめて、目的の場所へむかった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ