桜色舞う頃

□第七話 
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カタカタと風で戸が動く音がする…。

「今日は風強かったっけ?」とかボケた事を思いながら、ゆっくりと目を開けてみた。

初めに飛び込んできたのは、見慣れてしまった自室の天井。

この天井の染みが怖いのなんの!鋭い目ににやけた口…と凶悪な顔に見えるんだから!

このことを沖田に言ったら馬鹿にされた挙句、爆笑された…。

「怖いなら僕の部屋に来る?」なんて冗談だか本気だかわからない事を言われたっけ…。

冗談にしても本気にしても、(見かけは)年頃の女が男の部屋に泊まるなんて、常識はずれもいいとこだし、行ったら行ったで弄られるだけだもん。

丁重に断ったよ…。あの時の目は本気で怖かったな…。


そんなことをつらつら思いながら、小さく深呼吸。首と左腕が痛む以外は良好だった。


「………?」


…左腕?



恐る恐るゆっくりと左腕を動かしてみると、ズキリ…と鈍い痛み。

なんでこんな所怪我してんだろう?



「無理に動かさないほうがいいよ。傷が深くて血が止まらなかったから」

「…ふえ…?」

「気分はどう?冬姫ちゃん」

「…おき…た…?」

「うん」







「うぎゃぁ…っんぐ!?!?!?」

「静かにしてね。まだ夜中で、隊士たちは寝てるから」


うぎゃぁぁぁあああ!!!と叫んだ(叫びそうになった?)私の口を塞ぎ、凄みのある笑みで黙らせると沖田はよしよしと頭を撫でる。


……いい年こいた女なのに、こども扱い…。


軽くショックを受けながら、私は身体を起こし沖田を見た。

薄暗い中でも、色素の薄い髪や端正な顔、どこか悪戯っ子のような笑い方と紛れもなく沖田だと分かる。

体の力を抜き、なるべく小さな声で彼に声をかけた。


「ちょっと聞きたいんだけど、なんで私寝かされてるの?」

「…覚えてない、の?」

「覚え…?」


首を傾げながら寝かされる前の事を思い出そうと考える。


「あ…!シエラ様の偽物を見て気絶(?)しちゃったんだった!」

「アレを気絶って言えるのか分からないけど、まあ大概は合ってるかな」

「ね!ね!その時の事あんまり覚えてないの。詳しく説明して!」


沖田の袖を掴み軽く揺らす。

彼は面倒くさそうにしながらも、割りとすんなり教えてくれた。

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