桜色舞う頃

□第二話
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「でもね、足手まといになる人は僕の隊に必要ないんだ。
ちょっと手合わせしてくれる?」

そんなことを言いやがった沖田に連れて来られ、今私はここの道場に来ています…。


こんちくしょぉおおおおお〜〜!!








ざわつく道場に私一人だけ浮いている気がする…。

「君、そんな格好で戦えるの?」

「しょうがないでしょ、さっき借りた袴は動きづらくて駄目だったんだから!」

薄紅の法衣に青のミニスカ。額には借りた鉢巻。

でもって、もの凄く浮く姿の私を遠目に人が周囲を固めているよ〜。

「まあ、君がそれでいいって言うなら別に僕は構わないけど。
それで色仕掛けをしても無意味だってあらかじめ言っておくよ」

にっと口元を上げた沖田に一睨み送る。

それを軽く受け流して、沖田は手にしていた木刀を緩い動作で構えた。

「あはは。良い目をしてるね。じゃ、いくよ」

「待て待て待てぇ〜!私は手ぶら!素手で戦えっていうの!?鬼!!」

「大丈夫、大丈夫。君にはなくても平気でしょ?」

「よくな〜い!!そこの君!そこに立てかけてある棒を私に投げてよこして!」

「え?ああ…」

私達を見ていた一人に声をかけ、壁に立てかけてあった細長い棒を投げてもらう。

真っ直ぐに飛んできたそれを難なく掴むと、相手を見据えながら棒先を突き付けた。

「さぁ〜、どこからでもかかってきなさいよ!」

「立ててあったそんな物使わなくても、君には武器が有るのに」

「今、ここでやったら怖がられるんだろうし、やらない!
鬼畜英雄仕込みの棒術、舐めてかかったら痛い目にあうよ〜!」

「ふう〜ん…。まあ、お手並み拝見、ってね」

一気に緊張感が漂う。初めに動いたのは沖田だった。

鋭い一閃が眼下目掛けて送られる。それをすんでの所で避けると、棒を旋回させ木刀を叩き落とす。

ガツンと鈍く重い音が響き渡った。

「中々やるね」

「あんたもね」

お互い不敵に笑みを浮かべ、再度剣を交わらせる。

「小手調べはこれまで。…本気で行くよ」

「…っ!?」

速いっ!!

姿を追うのがやっとの速さで攻撃を仕掛けてくる。

それを何とか避けつつ、反撃に出ようと試みたけど防戦一方になってしまっていた。

右!左下!斜め上!

今度は…っ!これは…っ?

突き!?

それも三回連続!?反則だよ〜!!

「うわ!出た!総司の三段突き!」

「総司の奴、容赦のよの字もありゃしねぇ…」

「それより、あれを避けたあの子もすげぇぞ!」

野外の声なんて半分しか聞こえてこない。

「あれ?君の力ってこれだけなの?
あの挑発はハッタリだったなんて、何かちょっとガッカリだなぁ」

「そう思うのは…、ちょっと早いよっ!」


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