桜色舞う頃

□第三話
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ばたばた。

ばたばた。

「はいはい、そこの人〜。ちょっと避けて!」

「雲月、これはどうしたらいいんだ?」

「あ、それはここに置いておいて。ああ!ごめん!そこの鍋かき混ぜて〜!」

「おい、こっちは出来たぞ」

「ありがと!出来たものからお膳を出して」

「わかった」

頷きながら声を掛けてきた人は一杯になっている鍋をプルプル震わせ比較的安全な隅っこに移動した。

え?なんで私がこんな事をしてるって?

あはは〜。実はここに居させてもらう代わりの交換条件。

戦いがない時は、女中みたいなことをしろって言われたからです。

…ま、いいけどね。

初めは女である私が、ここに居る事を不快に思っていた人たちも、私の手料理で手の平を返しました!

ふっ…、男は胃袋で掴めってね。

それにしてもあの歓迎は…。そいんなにまずかったのか、ここの料理…。


ま、そんな感じで日々を過ごしています。

不安はありますよ、そりゃ!

まず、外出禁止!

なんで出歩いちゃダメなの!?って聞いたら、今は物騒だからって。

私は守ってもらうような弱い女じゃないのに〜!!

あとは男装。

これは最初の約束だったから仕方ないなぁ…って思ってたけど、思いのほか動きにくい!!

なのでちょっと改造しちゃいました!

ヒラヒラをなくしてみたら、何だか洋服みたいなもんになったけどね。

動きやすさ重視の方向よ!うん!

まあ、そんなこんなで賑やかな日々を過ごしてます!




あ、今は夜ですよ〜。

晩御飯の用意をしているところです。

大食らいが沢山いるから作り甲斐があるんだよね♪

毎日が忙しくて楽しくて充実してます!


―――――


きらきらと輝く星に、らんらんと照らす月。

今日は雲がないのか、上には満天の星空が広がり私はにっと笑った。

(ナイス!今日は絶好の日じゃない♪)

私が部屋を抜け出した時、誰もいなかったからこの事を知られなくてすむし。

庭先で佇んでいた私は指を弾き愛用のロッドを召喚する。

もう片方の手には桶に汲んだばかりの水。

これは必要だから落としちゃいけない。慎重に慎重に。

月光を弾き輝くロッドに意識を集中させ、周りの風を纏わりつかせた。

「良い風…。ここは綺麗な所なんだね…」

そう小さな呟きを一つ落とすとロッドを振り下げ、軽くジャンプをする。

私の身体は重力に逆らい、風のようにふんわりと持ちあがった。

「うん。絶好調!」

トンと屋根の上に降り立つとロッドを仕舞い、代わりに小ぶりの水晶を召喚させる。

「さぁーて、何が出るかな〜♪」

「そこまでだ。君は一体何をしている」

………。

…………人、いたの?――マジ!?

振り向くと全身を黒ずくめで固め、顔もマスクをしている人が私を睨んでいた。

忍者!忍者がいるよ〜!!


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