桜色舞う頃

□第四話
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「きゃはは!総司〜はやく〜!」

「今行くよ」






……あれ?なんで私ここにいるの?




つーか…。

寺の周りを駆けまわる子供たちに混じり、沖田が無邪気に笑っている…。



あんた、だれ!?






私はぶるぶると体を震わせ、境内の隅で子供たち(沖田含む)を見つめていた。

思い返してみると、私がここにいるのって沖田が引き摺ってきたからだよね。

そう…ここに来る前に…。





「冬姫ちゃん、今日暇?」

「毎日が暇って言えば暇だけど…何?」

「僕、今日非番だから面白い所に連れてってあげるよ」

「……え、いやだ」

「そう言わない。せっかくここから出してあげようと思ってたのに、がっかりだな〜」

「…(嘘くさ…っ)」

「さて、行こうか」

「ちょ…っ。私の意見を聞けぇ〜!!!」






以上、回想終了。


「って、面白い所ってコレかよ!?」

きゃっきゃと騒ぎ回る子供のお守りかよ!

思わず叫び声を上げると、一斉に皆が振り返る。

思わず仰け反ってしまったよ。

「冬姫ちゃんも遊ぶ?」

「あのねー、遊んでいる暇があると思ってんの〜?
土方さんから用事を言いつけられてたのに、こんな所でサボっているのなんて見つかったら「切腹だぁ!!」とか言われちゃうじゃない!」

「ああ、それなら大丈夫だよ。僕からちゃんと土方さんに話を通しておいたから」

「はぁ〜あ!?いつの間に!!」

それならそうと、最初にいってよ!

「あの夜にあった事を含めて話を聞いたけど。なんだっけ…ああ『星見』っていうの?
それは夜にしかできないんでしょ?だったら昼間くらい出歩いてもいいじゃない。
…それに、確かに君は大人しく頓所にいる性格なんてしていないしね。
また眠らされて脱走なんてされちゃったら、気分悪い…というか本気で斬り殺しちゃいそうだし、今日くらい気分転換で僕に付き合いなよ」

見下ろしてくる若葉色の瞳が、気遣わしげな色をしているのが目に入ってくる。

もしかして、私の事を気にかけてくれて外に連れ出してくれたの?

新選組に拘束されて行動の制限がかけられていたのは事実。

確かに不便や息苦しさを感じていたから、この行為は素直に嬉しかった。

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